白蛇様の花嫁 1 ガンガンコミックスONLINE
著:佐保里
出版社:スクエアエニックス
以前、このブログでも取り上げた、座敷娘と料理人の作者、佐保里さんの最新作。
この世とあの世の境にある不思議な島に住む、飯屋の女将、依子と彼女に料理の手ほどきをしている辰彦、そして島を訪れ去っていく人々を描いた作品です。
登場人物
富永依子(とみなが よりこ)
不思議な島にある飯屋の女将
おさげ髪の少女。
元は裕福な商家のお嬢様だったが、色々あって飯屋を切り盛りする事となった。
彼女は島が彼岸と此岸の狭間にあるとは気づいていないようだ。
辰彦(たつひこ)
依子に料理を教えている青年
顔にあざのあるハンサムな男。
かつては料理人だったが戦争により指を失い、包丁を振るう事は叶わなくなった。
鈴木修三郎(すずき しゅうざぶろう)
はぐれた妹、雛子(ひなこ)を探す少年
学帽に袴姿の坊主頭の少年。
ガラの悪い男に絡まれていた所を辰彦に救われる。
雛子(ひなこ)
修三郎の妹
オカッパの小さな女の子
じいさま
島の名主の老人
頬に傷のある白髭眼鏡の老人。
島では相談役のような事をしている。
しろ様
白蛇神社に住む少年
灰色の髪に赤い目の麻呂眉な男の子。
依子を嫁と呼び懐いている。
ゆき
島の砂浜でかんざしを探していた少女
ひっつめ髪で和装の女の子。
奉公先のお嬢様から貰ったというかんざしを探している。
長瀬(ながせ)
スーツに中折れ帽の紳士
赤い瞳の含みのある男性。
依子の父の知り合いを名乗り、彼女を島へと導いた。
みけ
かつて依子の家で飼われていた猫によく似た三毛猫
人懐っこくて可愛い。
和佳子(わかこ)
辰彦の妹
戦地に赴く辰彦に沢山のお守りを渡し、彼が無事帰還する事を願った。
あらすじ
出征した兄から妹の雛子の事を託された少年、修三郎。
その兄との約束を守ろうと彼は、はぐれただろう雛子を探して船着き場の人々に声を掛けていた。
そんな彼を疎ましく思った一人の男が、うるさいと修三郎の襟首を締め上げる。
殴られる。そう思いギュッと目をつぶった修三郎を顔にあざのある青年が救う。
辰彦と名乗ったその青年は、一緒に船に乗っただろう妹が見当たらないと話した修三郎を事務所にいるかもと彼を町へといざなった。
鳥居をくぐり辰彦が導いたのは、事務所とは名ばかりの一軒の飯屋だった。
感想
白蛇が守神する不思議な島。
恐らく、亡くなった者があちらに渡る順番を待つ為、滞在するだろうその島で飯屋の女将をしている依子と島を訪れる人々の交流を描いた作品です。
恐らく時代は日露戦争のしばらく後、登場人物の辰彦の他、あらすじで書いた修三郎の兄も戦争に参加していたようです。
また、彼らの暮らしもその時代を反映した物となっており、日照りに見舞われた修三郎の家はかなり厳しく、日々食べる物にも困る暮らしをしていた様でした。
死については全ての人にやがて訪れる物として、様々な事が考えられてきました。
天国、極楽に行って幸せに暮らす、魂が転生して次の生を生きる、無になる、北欧では勇敢な戦士は戦乙女によってヴァルハラに導かれるとかもあった様に思います。
今の所、魂の存在は立証されていないし、一回、死んで生き返ったという人も周囲にはいないし、幽霊を見たという経験も無いのでどうなるのか私には分かりません。
ただ、作品を読んで修三郎の様に懐かしい人に会えたらいいなと思いました。
まとめ
島は実りが豊かで海の恵みもあるらしく、とても食生活は当時としては豪華な様です。
物語はその豊かな実りを使い依子が人々に料理を振る舞い、彼らの探し物を見つけていく形で進んで行きます。
現時点では長瀬が何故依子を島に導いたのか、彼女は亡くなったのか等、色々謎が散りばめられています。
作品の着地点がどうなるのか、次も楽しみです。
この作品はガンガンオンラインにて一部無料で読む事が可能です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。