土地神と、村で一番若い嫁 1
著:あらをか青い
出版社:一迅社
とある村の土地神様が長年独り身でいた事を寂しく思い、村人に嫁の世話を頼みます。
諸々を考え彼が出した条件は村で一番若い女性。
やって来たのは三十五歳の未亡人の女性でした。
登場人物
土地神
狐の貌をもつ村の神
初心で優しい為嫁との関係はプラトニックなまま。
土地神として村人に慕われている。
嫁
夫を亡くし神の下へ嫁ぐ事になった未亡人
家事全般が得意でこちらも未亡人とは思えない程初心。
家事の中でも特に針仕事が大好きなようだ。
雷が苦手
子孫繁栄を司る神
狸の貌を持つ神
子孫繁栄を司るだけあってかなりの女好き。
でも一番は妻のなでしこであり、女性に声を掛けるのはイタリア人男性的な理由な気がする。
なでしこ
子孫繁栄を司る神の嫁
かなり気が強くアグレッシブな性格。
夫である子孫繁栄を司る神も尻に敷かれている模様。
あらすじ
長く村を守ってきた土地神は独り身を寂しく思い、村の女人を娶る事にした。
その事を村人に伝え、「村で一番若い女人」条件として提示した。そしてやって来たのは三十五の寡婦であった。
夫を亡くし肩身の狭い思いをしている筈だし、条件付けも若い事以外は指示していなかった。
その事に責任を感じた土地神は、ほとぼりが冷めるまで彼女を留め置く事にした。
だがこの女人、掃除、洗濯、食事、針とすべて完璧にこなし、その仕草も奥ゆかしく可愛らしい。
彼女を気に入った土地神は帰すという選択肢を消した。
夫婦となれば夜の営みも当然だろう。
だが彼女は未亡人。
土地神は神のプライドが邪魔をして、前の旦那と比べられる事を考え手を出せずにいた。
そんな日々を過ごす間にも不意に見せる笑みや仕草に、土地神の想いは募っていく。
彼は意を決し嫁に夜伽についてを切り出した。
すると彼女は夜伽について不安を感じていたと語り始めた。
彼女は自分の年齢を鑑み、土地神が満足できないのではないかと思いつめていたのだ。
そして土地神が自分にそれを求めないのは、自分の不安を鋭敏に感じたのだと思い、その事に慈愛の深さを感じたと話した。
本当は抱く気満々だった神は、嫁の反応で余計に手を出せなくなってしまうのだった。
感想
作者のあらをかさんがツイッターに投稿された物を一冊にまとめた作品です。
今回の出版化にあたり加筆修正が為されています。
初心な二人がプラトニックにイチャイチャするといった内容なのですが、可愛らしい二人の様子に思わずニヤニヤしてしまいます。
気になったのは嫁となった女性の過去について。
未亡人でありながらこれほど純真だという事は、彼女の夫婦生活は余り長く続かなかったのではないでしょうか。
夫婦として暮らしていれば様々な事が起こり、少しの事では動じなくなって行く筈です。
土地神との様子を見ていると彼女はまるで初めて男性と付き合ったかの様に初々しく見えます。
今後、その辺りも描かれるのかなと楽しみです。
まとめ
昔は雑誌連載された物が纏められ単行本になるのがスタンダードでしたが、最近はネットから人気に火がついて出版という形も珍しく無くなってきたように思います。
この作品もその一つだと思います。
作者のあらをかさんの絵は彩色がとても美しいので、フルカラーの物も見てみたいなと妄想してしまいます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のあらをか青いさんのTwitterはこちら。