トライガン・マキシマム 2 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクションです。
今回はヴァッシュが動き始めた事に気付いたレガートのエピソードから物語はスタートします。
#4 ウルフウッド あらすじ
ウルフウッドと二人、旅に出たヴァッシュは、古い知り合いと落ち合い、装備と左腕を新調する。
その街で起きた事件で、ヴァッシュはウルフウッドから、必ずどちらの命を優先するか選択を迫られる事になると宣言される。
死者を出さず事件は収束したが、それはヴァッシュの力ではなく、結果的にそうなっただけだった。
一方、ヴァッシュが動き始めた事を察知したレガートは、ヴァッシュの下にGUNG-HO-GUNSを送り込むのだった。
GUNG-HO-GUNSの一人、雷泥・ザ・ブレードを退けたヴァッシュは、彼に人斬りを止め普通の暮らしを送るよう告げ、立ち去ろうとする。
しかし、己が研鑽した剣への執着を捨てられない雷泥は、刀を手に取りヴァッシュの背に向けて技を放とうとする。
ウルフウッドはそんな雷泥を撃ち殺した。
ヴァッシュはウルフウッドを殴り、何故撃ったと詰め寄った。
ウルフウッドはヴァッシュを投げ飛ばし、自分が撃たなければ、やられていたのはお前だと答える。
ヴァッシュは刃を射出するためのトリガーは、まだ引かれていないと話す。
それを聞いたウルフウッドは、そいつが撃つのを止めていたとでもいうのかとヴァッシュに怒る。
怒るウルフウッドに、それは分からないが、その時は避ければいい。
殺してチャンスを奪うよりましだとヴァッシュは答えた。
その答えを聞き、ウルフウッドはヴァッシュの襟首をつかみ叫んだ。
「いい加減にさらせ!!この偽善者が!!
トンガリ、オンドレは汚い。
自分の手は汚さんくせに、綺麗事ばかりぬかすんや。」
ウルフウッドは銃を抜き、それをヴァッシュに握らせ、自分の額に押し付けた。
「撃て」
自分が間違っているなら、引き金を引け
その代わり、汚れ役もバトンタッチだ。
次から邪魔者を消すのに躊躇するな。
「キッカケになるなら、安いもんや。
命くれたる」
引き金を引かないヴァッシュに、ウルフウッドはヘタレがと吐き捨てた。
それに対し、ヴァッシュは弱虫はお前の方だと返した。
「なんでもかんでも、
あっさり見限っている。」
そう話したヴァッシュに、おんどれが見限らなさ過ぎなんやと答える。
ヴァッシュは、そんな辛そうな目をして何いってんだと話し、続けた。
以前、ウルフウッドは、ヴァッシュの笑い方がカラッポだと言った。
だが今のウルフウッドは、心が悲鳴を上げているのに、無理矢理、鬼になっている。
そんな風にみえるぜ…
そう話すヴァッシュ達を、GUNG-HO-GUNSの一人、ザジ・ザ・ビーストが見下ろしていた。
トニムタウンで二人が話していた頃、ブロウアップ・ヒルのバーにコートの二人連れが入って来た。
カウンターで、バナナサンデー、ガトーミルフィーユとセイロンティーのセットを頼んだのはメリルとミリィだった。
二人はエドワーズまでの足を探し、トマ牧場のトラックに便乗することに成功する。
メリル達の後任となった男の不正が発覚し、結局彼女達がヴァッシュの担当として派遣される事になったのだ。
報告書を読みながら、ドライバーの女性とヴァッシュついて話していると、荷台のトマが騒ぎ出した。
その時、ミリィが空を飛ぶ船の様なものを発見する。
船はトラックの上を通り過ぎ、砂漠に轟音を響かせ不時着した。
駆け寄ったメリル達が見たのは、倒れ込みヴァッシュの名を口にする少女、ジェシカの姿だった。
今回の見どころ
・刀と銃の異種戦闘
今回登場する雷泥・ザ・ブレードは、SFチックではありますが、紛うことなき侍です。
銃が支配する星で、彼は刀一本で生き抜いてきました。
ヴァッシュとの銃対刀の対決は迫力満点です。
感想
今回は、雷泥との勝負において、ウルフウッドが彼を殺したことを起因とした、ヴァッシュとウルフウッドの、考え方の違いが語られました。
どんな悪人でも殺さず、やり直すチャンスを、自らが傷つきながらでも求めようとするヴァッシュ。
かたや自分や仲間を守るためなら、殺人も厭わないウルフウッド。
二人の考え方は平行線をたどります。
ウルフウッドの過去を断片的に織り交ぜながら、彼はヴァッシュが人では無いから、他人を救う余裕があるのではないかという考えに辿りつきます。
ウルフウッドの立ち位置は、読者の目線を代弁しているように感じます。
死がすぐそばにある状況で、誰も殺さず、しかもGUNG-HO-GUNSという、自分の命を狙う殺人鬼たちの命をも救おうとする。
ヴァッシュの行動は常識的に考えれば、常軌を逸しています。
その答えは物語が進むにつれ、彼の苦悩とともに明かされていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。