空挺ドラゴンズ 15 アフタヌーンKC
著:桑原太矩
出版社:講談社
新生クイン・ザザ号に乗り込み因縁の相手、震天王テュポーンに挑んだクイン・ザザの面々。
捕龍ではなく、討伐を目指す屠竜船プラナ・グラーヴァと共闘しながらテュポーンを追い詰めたクイン・ザザだったが、突然現れた新たな捕龍船に最後の一矢を奪われ……。
登場人物
ジローの父
テュポーンとの戦闘の際、最後に割って入った捕龍船メッキーラ・モーン号の砲手
黒髪ポニテでもみあげの男。
ジローを一年後迎えに来ると約束していたが、約束の場所である山の頂に現れる事はなかった。
その後、山頂で待ち続けたジローは不時着したクイン・ザザの乗組員となる。
ハーズ
テュポーンとの戦闘中、左腕を失ったギブスの担当医
白髪丸眼鏡の壮年男性。
術後の経過が良くないギブスの為、クイン・ザザの面々に竜の脳油の手配を求める。
レン
ギブスが傭兵時代に出会った脱走兵の少年
金髪眼帯の少年。
彼と同様に軍を脱走した少年たちのリーダー格。
偵察任務で小型飛行船に乗っていたギブスは竜に襲われ墜落。
そのギブスを彼らは拘束するのだが……。
あらすじ
震天王テュポーンの捕龍に成功したクイン・ザザ。
しかし、それはクイン・ザザ、プラナ・グラーヴァ、そして最後に介入した捕龍船、メッキーラ・モーンの三つの船の共闘という形となった。
竜の所有権は普通は一番銛を打ち込んだ船に権利がある。
しかし、今回はアンカーは抜けてしまっている。
その場合、通例では止めを刺した船に所有権がある。
今回の狩りでは甲板長のギブスも左腕を失う大けがをしている。
ただ働きは冗談じゃない。
慌てるニコ達にメッキーラ・モーンの砲手が声をかける。
「アイツは皆で捕ったんだ。皆で分けりゃいい」
そう言ってジローの父だと言う砲手の男はほほ笑んだ。
その後、メッキーラ・モーンの他、クイン・ザザ、プラナ・グラーヴァの乗組員達も鉈を片手にテュポーンを解体。
ミカはテュポーンの廃棄肉から食べられる部分をかき集め、肉を包丁で叩きハンバーグを作った。
そうして出来上がった伝説の竜、震天王テュポーンのハンバーグは今まで食べた事がないほど美味だった。
感想
今回は捕獲したテュポーンの解体から始まり、テュポーンハンバーグ、ジローと父の再会、左腕を失ったギブスの治療のため、脳油を持った竜狩り、ギブスの傭兵時代の思い出などが描かれました。
今回はその中でもギブスの過去についてが印象に残りました。
ギブスは小型船で偵察中、竜と接触し墜落。
軍を逃げ出した少年兵たちと出会います。
三度の食事に温かいベッド。
そんな宣伝文句に騙され軍に入った少年たち。
ですが、彼らを待っていたのは酷い食事と冷たい床で眠る日々でした。
これまで観た映画と同様、戦場に快適な場所など無く、そんな待遇を受けられるのは上級将校だけなのでしょう。
作中、ギブスは少年兵たちと協力し、前線からの脱出を図ります。
何とか川を渡り、逃げ延びたかに思われたのですが、ギブスは体力の限界で川に流されてしまい……。
戦争なんてやっぱり碌なもんじゃない。
エピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、左腕を失ったギブスは船を降りる事をタキタ達に告げるのですが……。
これまで甲板長として乗組員をまとめてきたギブス。
彼は本当に船を降りてしまうのか。
今後の展開が気になります。
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