薫る花は凛と咲く 8 講談社コミックス
著:三香見サカ
出版社:講談社
夏休みの最終日。
凛太郎(りんたろう)は薫子(かおるこ)の為にケーキを作り彼女に手渡す。
薫子はデートを楽しみたいと、手渡されたケーキを家に置きに戻った。
十五分ぐらいで戻ると薫子は言っていたが、三十分経っても彼女は戻らず、凛太郎が不安を感じていると、一人の少年が彼に声をかけてきて……。
登場人物
和栗洸介(わぐり こうすけ)
薫子の弟(13)
黒髪の明るい男の子。
病弱だった母に代わり家を支えつつも、勉強も頑張っていた姉、薫子に恋人が出来た事を喜ぶ一方、その恋人がどんな人間か気になっている。
和栗楓子(わぐり ふうこ)
薫子の母
黒髪ショートの女性。
現在は健康な様だが、以前は体が弱く入院で家を空ける事もあったようだ。
凛太郎の作ったケーキを食べ、彼に信頼を置く。
沢渡亜由美(さわたり あゆみ)
薫子のクラスメイト
黒髪ロングの女子。
薫子と凛太郎のデート中、偶然遭遇し千鳥の生徒である凛太郎に忌避感を抱く。
浅倉すずか(あさくら すずか)
薫子のクラスメイト
ツインテール女子。
彼女も亜由美同様、千鳥の生徒である凛太郎と薫子が付き合っている事に抵抗を感じているようだ。
源千紗(みなもと ちさ)
薫子のクラスメイト
黒髪肩口ショートの女子。
亜由美、すずかと同様、千紗も薫子が千鳥の生徒たちと関わっている事に抵抗を感じている。
柚原まどか(ゆずはら まどか)
薫子のクラスメイト
黒髪おさげで眼鏡な女子。
彼女も薫子と凛太郎のデートを目撃するが、桔梗の教師が言う千鳥の悪評を真に受けず、自分の目で見て感じた事を基準に考える。
薫子と凛太郎の交際について興味深々のようだ。
あらすじ
カフェで薫子を待っていた凛太郎に声をかけてきた少年。
口早に言葉を紡ぐ少年に凛太郎が唖然としていると、息を切らせた薫子が少年の肩に手を置いた。
その後、少年は洸介と名乗り、自分は薫子の弟だと改めて凛太郎に告げにっこりとほほ笑んだ。
薫子の説明によると、家にケーキを置きに帰った薫子だったが、どうやら洸介は以前、凛太郎と薫子が一緒にいるところを目撃しており、薫子を問い詰め凛太郎が恋人だと聞きだしたようだ。
「このあと二人でご飯行くんですよね?」
「う…うん」
「だっ! だからその話はいいって…!」
「よかったら、うちで食いません?」
そんな洸介の提案に慌てる二人だったが、洸介だけではなく母親にも交際を知られている事を知った凛太郎は、ちゃんと挨拶したいと薫子の家にお邪魔する事を決めたのだった。
感想
今回は冒頭、薫子の弟、洸介の登場と彼の提案から始まり、薫子の母、楓子との対面、和栗家での食事、凛太郎のケーキとそこから伝わる事、洸介の気持ち、薫子のお願い、薫子の友人たち、植え付けられた偏見などが描かれました。
今回はその中でもケーキから伝わった凛太郎の人柄と、薫子の友人、桔梗学園の女子たちが持つ千鳥に対するイメージが印象に残りました。
ケーキと楓子のエピソードでは、凛太郎は自分の見た目と底辺校である千鳥というコンプレックスから、楓子に薫子とお付き合いさせてもらっていると挨拶をします。
そんな凛太郎に楓子はずいぶん自分を下にして話すと言葉を返します。
長身で金髪ピアス、評判の悪い底辺校。
幼少期、見た目で周囲から怖がられた経験を持つ凛太郎は、これまで誤解される事が多かった事で自己評価がかなり低いようでした。
ですが楓子は凛太郎の見た目ではなく、以前凛太郎が作ったケーキで彼を判断しました。
薫子に喜んでもらおうと、懸命に作ったケーキ。
それは彼の外見ではなく、中身をそのまま楓子に伝えたようでした。
優しくて、温かくて、痛いくらい真っ直ぐ。
ケーキを通して伝わった凛太郎の人柄。
それを感じ取ってくれた楓子。
エピソードを読んでいて、この人がいたから薫子は薫子になったんだなと感じました。
また、凛太郎たちがデート中、遭遇した桔梗の女生徒。
薫子の友人たちについて。
亜由美、すずか、千紗の三人はこれまで教師が話していた千鳥の評判により、凛太郎個人ではなく、千鳥というレッテルで凛太郎、それに彼の友人である翔平(しょうへい)、朔(さく)、綾斗(あやと)を一括りで見ているようでした。
ただ、まどかだけは偏見を持たず真摯な対応をした凛太郎に好感を抱き、薫子と凛太郎の関係に興味深々の様でした。
このブログでも何度か書いた気がしますが、外見やカテゴリーで人を見る事はやっぱ意味ないなとエピソードを読んでいて感じました。
まとめ
次回、凛太郎たちは薫子の友人、亜由美たちと顔合わせをする模様。
教師が言う千鳥に怯え、忌避感を抱いている亜由美たち。
彼女たちと凛太郎たちの絡みがどうなるのか、次回も読むのが楽しみです。
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