カラオケ行こ! ビームコミックス
作:和山やま
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
三十九歳のヤクザと中三男子による、カラオケを切っ掛けに始まった友情を描いた作品です。
登場人物
岡聡美(おか さとみ)
中学三年生男子
丘森中学校合唱部部長。
合唱大会で歌の先生を探していたヤクザの狂児(きょうじ)に目を付けられる。
眼鏡で真面目で毒舌な男の子。
ある悩みを抱えている。
成田狂児(なりた きょうじ)
四代目祭林組若頭補佐
鋭い目つきをした細身で長身の男。
組長主催のカラオケ大会で最下位になる事を回避する為、聡美に歌を教えてくれと頼み込む。
持ち歌はX JAPANの紅。
組長
ヤクザ組織の組長
狂児の組の組長では無くその上部組織の組長っぽい。
趣味はカラオケと入れ墨(彫る方)
絶対音感を持っている。
あらすじ
合唱部に所属する岡聡美は最後の大会の後、目つきの鋭い男に声を掛けられカラオケボックスに連れ込まれる。
男の名は成田狂児。
祭林組という暴力団に所属するいわゆるヤクザだった。
彼の話では歌が上手くなるコツを教わる為、合唱コンクールで教わる人材を探していたらしい。
その際、彼の琴線に触れたのは優勝した学校では無く聡美の所属する合唱部だった。
その合唱部の部長なら、部の中で一番だろうという理由で聡美は選ばれたようだ。
コーチをしてくれと言う狂児に、聡美は怯えながらも話が見えないと切り返した。
そんな聡美の問いに狂児は事の経緯の説明を始めた。
それによると彼が世話になっている組長がカラオケ好きらしく、年に四回、カラオケ大会を開くらしい。
大会は絶対音感を持つ組長が審査員となり厳しく審査される。
そして、その大会で最下位だった者には組長が自ら入れ墨をいれるそうだ。
入れ墨ぐらいと言う聡美に狂児は更に説明する。
組長は入れ墨に関しては習い始めたばかり、当然プロの彫り師が彫るのとは訳が違う。
激痛に耐える事を長時間強いられるうえ、彫られる物も組長任せ、さらに絵心も死んでいる。
ある組員等、手の甲に苦手としているキティちゃんを彫られたそうだ。(組長に絵心が無かったので出来上がった物は化け猫にしか見えなかった)
狂児は何とか最下位から逃れようと、歌の上手い聡美にコーチを頼んだという事だった。
感想
ヤクザと中学生の歌の指導を通して芽生える、不思議な友人関係を描いたハートフルなコメディ作品です。
主人公の聡美は狂児に怯えつつも、言いたい事は言っちゃうタイプであり、更に真面目なので歌に関しては的確なアドバイスをしていく所が読んでいてとても気持ち良かったです。
和山やまさんの作品は、これ以外にも「女の園の星」も読みましたが登場人物たちがどこかずれていて、そこに何とも言えない魅力を感じます。
本作も主人公の聡美と狂児以外、ヤクザの人達も人間臭く楽しく読む事が出来ました。
まとめ
笑いと感動の両方を味わえる一冊でした。
“紅”最高でした。
和山さんの次の作品もとても楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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