虚妄の女王 ~辺境警備外伝~ 2 ボニータ・コミックス
著:紫堂恭子
出版社:秋田書店
ルウム復活暦1005年、北方辺境国のエアドロム王国。
その王国で代々王族の護衛を務めて来たバンブラス一族の少女フィアンナは国内の混乱を避ける為、馬上槍試合で授賞式で襲撃を受け亡くなった王女セオドラを演じ生きる事になる。
登場人物
カルライグ伯
セオドラの後見人
セオドラを女王に据える事でエアドロムの貴族のトップとなった。
ただ、対抗勢力は多く、現在もその地位は盤石とは言えない。
トライド
前王の第四夫人の息子
黒髪の青年。
セオドラの後ろ盾であるカルライグ伯と敵対するデアログ家が送り込んだ。
セオドラに次ぐ王位継承権の持ち主であるが、第四夫人は「ルウミアン」と呼ばれるかつて国を支配したルウム人の血を引いている為、トライドも同じく差別と蔑みの対象となっている。
アルマ
セオドラの乳母
セオドラに扮したフィアンナが王女とは別人であると気付くが、それを指摘する事無く、逆に身内も信用するなと助言を与えた。
サウル・カダフ
ルウム王国軍軍団長
髯のおじさん。
辺境警備の隊長さん。
多分、また中央からの命令で前線に送られたんだと思う。
戦場にいる為か、なんだかシリアス。
大好き。
セス・リグナトール
元兵士
栗色の髪の青年。
得体の知れない何か追われる少女、ジュスベルを通してカイルと知り合い、旧魔国イドラグールの民の移住を手伝う。
カイル
呪術師(ドラティア)
ルウム王国とイドラグールの橋渡しをしていた。
ルウム王国の北、エアドロム王国との緩衝地帯、美枝森(ファグルリミ)へのイドラグールの民の移住を主導している。
あらすじ
守るべき王女、セオドラの死にフィアンナは打ちのめされる。
だが、授賞式で死んだのはフィアンナの姿をしたセオドラであった為、表向きはセオドラは生きている事になっていた。
これ以上の混乱を避ける為、フィアンナには引き続き王女セオドラとして振舞う様、指示が為される。
一方でセオドラを襲った者は、王女の後見人であるカルライグ伯の部下であった事も判明した。
その男は家族を人質に取られ止む無く襲撃実行に及んだ様だ。
また男を脅迫した者達はセオドラの想い人、アルムールの実家であるレイフ家の紋章を付けていたらしい。
脅迫者がわざわざ自分の身分を吹聴する訳もなく、恐らくは黒幕の策謀の一つだと考えられた。
黒幕が誰なのか疑心暗鬼の状況の中、フィアンナは偽物である自分が貴族のみならず、多くの国民を騙しこのまま王女して振舞う事が正しいのか悩む。
そんな時、フィアンナは王女としてセオドラの乳母であったアルマと対面した。
アルマはフィアンナがセオドラではないと気付きながらも、それを言う事無く、彼女に誰も信じるなと助言を与える。
フィアンナは対立貴族に送り込まれた王子トライドの事、自分の身を偽物と気付きつつ案じてくれたアルマの事を踏まえ、その背後に渦巻く貴族達の思惑と陰謀を感じた。
そして、その犠牲となったセオドラの為、どんな事をしても彼女を殺した真犯人を必ず突き止める事を心に誓うのだった。
感想
今回は対立貴族から送り込まれた王子トライドとの出会いから始まり、偽りの女王を演じる事へのフィアンナの悩みと決意、戴冠式、王国南部でのルウムとの戦闘、ルウム王国軍軍団長サウルとの出会い、美枝森(ファグルリミ)への移住者等が描かれました。
今回も色々ありましたが、辺境警備のファンとしてはやはり隊長さんが登場した事がとても嬉しかったです。
今回は他国の女王とのファーストコンタクトであった為か、かなりシリアスな感じでしたが、打ち解ける内、わたしの好きな飄々として軽薄な隊長さんの姿も見れるかなと今後の展開が楽しみです。
後、カイルや前作、逃げる少女の主人公セスも物語に絡むようなので凄く嬉しいです。
まとめ
前巻を読んだ印象ではルウム王国、北のエアドロム王国内の陰謀が中心になるかと思っていたのですが、旧魔国から移民の事でルウム王国も物語に関係してくるみたいです。
感想に書いた様に辺境警備のファンとしては隊長さんの参加が滅茶苦茶嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。