騎士譚は城壁の中に花ひらく 3 ガルドコミックス
著:ゆづか正成
出版社:オーバーラップ
故郷の梯子の城(スカーラエ)を戦火で失い、騎士ヒルンドーに救われ錠の城(クラウストラ)へとやって来た騎士見習いのロサ=スカーラエ。
今回は従騎士(スクワイア)となり、戦闘の訓練を始めたロサの姿と、その成長に伴い変わっていく錠の城の様子が描かれました。
リアルな中世の騎士達の生活を描いた作品、その完結巻。
登場人物
レオ=フォンス
錠の城(クラウストラ)の姫、ウィオラの結婚相手
フォンス大公の三男。
優しい面差しの青年。
あらすじ
成長し従騎士(スクワイア)となったロサ。
そのロサを先輩騎士のケウルスは厳しく指導するようになった。
従騎士となれば、騎士と共に戦場に赴く事になる。
敵は従騎士だろうが手心を加える事はない。自分の身は自分で守るしかないのだ。
従騎士になって変わった事は他にもある。
その一つが一人で森に入る事が許された事だ。
その日も城の召使いの女性から、城主の息子、ラケルタが森に仕掛けた罠を見て来て欲しいと頼まれた。
何か掛かっていれば明日の宴席で出したいそうだ。
ロサはその頼みを快く引き受け、途中寄り道し川で水浴びをして汗を流した。
成長して徐々に女らしさを増す体。
ロサを梯子の城(スカーラエ)から救い出し、騎士の道を示してくれたヒルンドーには、騎士叙勲の妨げになるかもしれないからと、男として振舞う様、言われている。
もし、自分が女であると知ったらケウルス達は武芸を教えてくれなくなるだろう。
そう考え、改めて叙勲までは女である事を隠し通す事をロサは改めて誓う。
そんなロサの耳にラケルタの悲鳴が届く。
ラケルタは気性の荒い大猪に追われていた。
ロサはラケルタを助ける為、裸のまま弓だけを手に現場へ急行、番えた矢は見事、猪の瞳を貫き一発で仕留める事に成功したのだった。
感想
今回は冒頭、従騎士(スクワイア)となったロサの生活の変化から始まり、騎士修行の為、城を出るラケルタとの別れ、紋章とルーツ、狩猟の会での出会い、ウィオラへの告白、誕生日、ヒルンドーと決闘裁判、ロサの目指すモノ、初陣前夜等が描かれました。
今回はロサの成長に伴い変わっていく彼女の周囲が印象に残りました。
悪ガキという印象だったラケルタの成長、おしゃまさんな印象のウィオラの婚約。
まだ子供だと思っていたキャラ達が、どんどん大人になっていく。
それはロサも同様で、守られ導かれていた幼少期とは違い、この巻ではしっかりと自分の道を定めその道を歩いている事が感じられました。
作品は残念な事にこの巻で完結。
出来れば初陣でのロサの姿や、成長し故郷を取り戻した後の姿なんかも見たかったなぁと思ってしまいました。
まとめ
騎士が主役の物語ながらも戦場では無く、日々の暮らしが描かれた興味深い作品でした。
作者のゆづか正成さんの次回作も楽しみです。
この作品はコミックガルドにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。