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19番目のカルテ 徳重晃の問診 第四巻 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2021年11月27日 更新日:

医療機器、医師、患者
19番目のカルテ 徳重晃の問診 4 ゼノンコミックス

著:富士屋カツヒト
医療原案:川下剛史
出版社:コアコミックス

専門の科と患者を繋ぐ医師、総合診療医の活躍を描いた作品、第四巻。
今回は売上の少ない総合診療科の存在意義について問われるエピソードから物語はスタートします。

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登場人物

柴田(しばた)
飲食店の店長
疲れた様子の中年男性。
進行すれば窒息死の可能性もある扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)と診断されるが、仕事の忙しさに薬の服用と再診を止めてしまう。
注射が怖い。

東郷陸郎(とうごう ろくろう)
外科部長
頭頸部外科の医師、東郷康二郎(とうごう こうじろう)の父親。
無駄を嫌い効率を優先する為、周囲からは情の無い冷淡な人物と見られている。
息子の康二郎からは理想の医師として目標にされている。

院長(いんちょう)
魚虎総合病院、院長
糸目で無精ひげの男性。
病院を利用する患者の信頼を得る目的で総合診療科を開設したようだ。

高蔵寺(こうぞうじ)
運動器具メーカー、営業
浅黒い肌でパワフルな五十代の男性。
インフルエンザ罹患を機に体が疲れやすくなってしまった。

弥富幸斗(やとみ ゆきと)
男子中学生
サッカー部に所属している。
四人兄弟の次男で、忙しい両親と大学進学で家を出た兄の代わりに、幼い妹たちの面倒を見ている。
部活終わりに体に湿疹が出た事で総合診療科を受診する。

幸斗の母
在宅ワークなのか、仕事を持ち帰っているのか、夜も仕事の電話を受ける等、かなり忙しい模様。
その為、下の子の面倒をみてしっかりしている幸斗に頼っている部分が大きい。

羽海(うみ)
多分、女子中学生
黒髪ロングの女の子。
思春期プラス重い生理痛で父親との関係にすれ違いが生じている。

羽海のちち
妻を亡くし男手一つで娘の羽海を育てている。
男親という事で女性特有の悩みには踏み込めないでいた。

あらすじ

扁桃腺の腫れで総合診療科を受診した飲食店の店長、柴田。
徳重は彼に扁桃周囲膿瘍の可能性を指摘し試験穿刺(しけんせんし)による膿の吸引を進めるが、柴田は注射を怖がり、仕事が忙しい事を理由に時間が無い事を告げた。

徳重としても無理強いは出来ず、抗菌薬を処方し三日後の再診と苦しくなったらすぐ来る事を約束して、その日は診察を終えた。

そして三日後、バイトに欠員(ばっくれ)が出た事で柴田は仕事を優先。
徳重は彼の携帯に連絡をいれるが、柴田が出る事は無かった。

その日の夜、当直に当たっていた徳重の下に柴田が救急車で運び込まれる。
彼は膿瘍を悪化させ呼吸困難に陥っていた。

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感想

今回は冒頭の柴田の一件から始まり、幹部定例会での総合診療科の必要性の有無、パワフルな男性と慢性疲労症候群、しっかり者の息子と湿疹、生理痛に悩む女子学生等が描かれました。

その中でも今回は、総合診療科の必要性について描かれたエピソードが印象に残りました。

今の時代、病院も赤字で苦しむ事も珍しくありません。
医師や看護師も人間ですから自分の生活があり、職場である病院の経営状態によっては採算の合わない科は整理されるのも仕方のない事かもしれません。

ただ、作品のテーマにもなっている医師の専門化によるたらい回しは、自身でも経験した事もあり、やはり儲かる儲からないではなく、総合診療科の様な所は沢山の総合病院で採用して欲しいなと思いました。

また、病院の赤字経営についても少し気になりました。
民間の総合病院であっても地域の医療に深く根ざしています。
そんな病院が倒産し無くなれば、その地域の医療は空白になってしまうのではないでしょうか。

現在も続いているコロナの様な全国規模の感染症が起きた時、国が費用面できちんと補償する制度が出来ればいいな。
そんな事を読んでいて思いました。

まとめ

今回は悩みを周囲に言えない患者がテーマになっていた様に思います。
自分が我慢すればいい、自分がそうなる訳が無い、しっかりしなければならない、自分の苦しみは他人には分からない等。

様々な理由ですが、彼らは一様にコミュニケーション不足な様に読んでいて感じました。

次回は歯の健康について描かれるみたいです。
どんなエピソードになるのか、読むのが楽しみです。

この作品はゼノン編集部で一部無料でお読みいただけます。
作者の富士屋カツヒトさんのツイッターはこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのfernandozhiminaicelaによる画像です。
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