時給三〇〇円の死神 コミカライズ版 2 アクションコミックス
原作:藤まる
作画:桐原いづみ
出版社:双葉社
この世に未練を残して死んだ人々。
生きていた頃と変わらぬ暮らしを続ける、その死者の未練を晴らしあの世へ送る死神。
その死神のバイトをしている高校二年生の佐倉真司(さくら しんじ)は同じくバイトの先輩でクラスメイトの美少女、花森雪希と主婦の広岡加奈の願いを叶える為、仕事を開始する。
加奈の願いは命を懸けて生んだ息子智明が、無事生まれたかどうか知りたいというものだった。
登場人物
広岡の夫
真司が担当した三人目の死者、広岡加奈(ひろおか かな)の夫
黒髪眼鏡の男性。
医師として成功したが浮気性。
加奈の事は早く孫をとうるさい両親へ孫を渡す道具としか見ていない。
真司の母
真司の父の会社が倒産し多額の借金を背負った時、離婚した。
その際、親権をあっさり手放した。
真司は彼女に会う為の旅費を工面する目的でバイトを探していた。
四ノ宮夕(しのみや ゆう)
真司が担当した四人目の死者
ツインテールの女の子、十歳。
八歳の時、母親にマンションのベランダから突き落とされ死亡。
死亡以前も母親からストレスのはけ口として虐待を受けていた。
表面上は明るく快活だが、時折暗い一面をのぞかせる。
生き物の心臓を止める力を持っている。
雨野(あまの)
死者
黒髪長髪の胡散臭いおじさん。
死者同士、夕と仲がいいようだ。
あらすじ
加奈との顔合わせを終え帰宅した真司は、彼女の言う事におかしさを感じる。
死者が生きているという世界線、ロスタイムの発生中には赤ん坊は生きている。故に彼女が成仏しないと本当の事は誰にも分らない。
更に加奈の能力、他人の嘘が分かるというものも赤ちゃんの無事を知るという願いには関係無い。
真司は加奈が嘘を吐いていると結論付けた。
その事を雪希に話すと彼女もそれに同意してくれた。
二人目の死者、黒崎の消え方、未練が晴れたのではなく、諦めたように消えた彼の事で後悔を持った真司は、加奈に対してはそんな思いを持たぬ様、全力で取り組むと誓うのだった。
感想
この作品では死者が生きていた場合の世界線が構築され、一般的な幽霊というイメージではなく、並行世界、無数にある可能性の一つの様な描かれ方をしています。
ただ、その世界も死者が未練を果たし消える事で修正され、死者が死んだ世界線へと歴史は書き換えられます。
その二つを認識出来るのは死神の役割を担った人物のみ。
今回は幼い息子を抱えた主婦、広岡加奈と虐待の末、母親に突き落とされ死んだ十歳の少女、四ノ宮夕の二人の死者のエピソードが収録されました。
作中、真司が気付いた担当する死者と死神の共通点。
家族の事で悩みを抱えているという事。
人を道具としてしか見ない夫、死ぬかもしれないのに出産を強要する義父母、娘でストレス発散をする母親。
ミステリと言う勿れで語られた様に、加害者の側にこそ何か精神的な問題があるのでは、今回のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、死者雨野によって意外な事実が語られました。
次回、それを知った真司はどうするのか、花森はどうなるのか。
次も読むのが楽しみです。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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