時給三〇〇円の死神 コミカライズ版 3 アクションコミックス
原作:藤まる
作画:桐原いづみ
出版社:双葉社
この世に未練を残して死んだ人々。
生きていた頃と変わらぬ暮らしを続ける、その死者の未練を晴らしあの世へ送る死神。
その死神のバイトをしている高校二年生の佐倉真司(さくら しんじ)は死者である雨野(あまの)からクラスメイトで同じく死神のバイトである花森雪希(はなもり ゆき)が死者である事を告げられ……。
登場人物
朝月静香(あさつき しずか)の母
静香が死者だった事に気付かず彼女が消えた後、静香が生きているかのように訪ねて来た真司に激高した。
暫く間を置き真司が朝月家を訪ねた際は、落ち着きを取り戻し優しく対応してくれた。
花森雪希(はなもり ゆき)の母
幼い雪希を女手一つで育てる事に疲れ、ハイキングで出掛け川に落ちた(雪希の記憶では)雪希を溺死させた。
サッカーボールを抱えた少年
道路際の壁の前でサッカーボールを抱えたまま佇む死者の少年。
雪希は彼の幸せを願っていた。
あらすじ
雨野が告げた言葉、花森雪希は死者。
雨野は花森が事前に虐待されていた死者、夕(ゆう)と出会い自分が死者である事を言わない様、口止めしていたという。
その雨野の言葉に真司は説得力を感じていた。
真司自身が感じていた違和感、花森はいつも自分より先に死者と会っていた。
さらに二人目の死者である黒崎(くろさき)の別れの言葉。
“あんたも大変なのに世話になったな”
雇用期間は自分と同じく半年なのに知識量に差があり過ぎる事。
嘘だよな? そう問いかけた真司に花森は返事をしなかった。
そんな二人の様子を見て、雨野は、我が身の不幸を呪い、こんな世界、どいつもこいつも不幸になればいいと声を上げて笑った。
最後に夕からの『あなたたちに最大の不幸が訪れますように』という伝言を伝え雨野は二人の前から去って行った。
雨野が去った後、花森はいつか話した死者の持つ力、時間を止める能力は自分の物だと告白して笑みを浮かべ、ごめんなさいと言葉を残し真司の前から姿を消した。
感想
最終巻であるこの巻では死者、花森雪希を真司が送る為、二人の幸せな日々が描かれる事になりました。
二人の一緒に遊ぶ姿は正に恋人同士としか呼べない物でしたが、先にあるのは別れであり、更に雪希が消えたあと、真司が死神の任期を終えれば雪希との記憶は歴史の修正に従い消えてしまいます。
真司の元カノ、朝月静香のエピソードを読んだ時にも感じましたが、絶対に取り戻せない人とのロスタイムは切なく、でも暖かくてそれだけに哀しいなぁと読んでいて思いました。
まとめ
読み終えての作品としての印象はオカルトというよりは、死者が生きている世界線、ifの世界を描いたSFの様に感じました。
消えてしまったけれど消えない記憶。花森の消失によって空に溶けたマフラーの様に淡く優しい物語でした。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。