時給三〇〇円の死神 コミカライズ版 1 アクションコミックス
原作：藤まる
作画：桐原いづみ
出版社：双葉社
この世に未練を残して死んだ人々。
死んだ事に気付かず現世を彷徨い、生きていた頃と変わらぬ暮らしを続ける死者の未練を晴らしあの世へ送る死神。
高校二年生の佐倉真司（さくら しんじ）は父親の起こした暴行事件の事でバイトの面接に落ちた日の帰り、見知らぬ男にピッタリの仕事があると告げられる。
人を送る、そう言って男が真司の視界から消えた翌日、クラスメイトの花森雪希（はなもり ゆき）が真司の部屋を尋ねてくる。
彼女が提示したのは自給300円の死神のアルバイトだった。
登場人物
佐倉真司（さくら しんじ）
高校二年生男子
黒髪で静かな印象の少年。
過去、父親が起こした暴行事件が原因でアルバイト先が見つからず、目減りする一方の貯蓄に行き詰まりを感じている。
中学時代、サッカーで足を痛めた。
真司の父
元政治家
政治家を辞め会社を興したが、暴行事件が大々的に報道された為、会社は倒産。
現在は借金返済の為、働いており殆ど家にはいない。
花森雪希（はなもり ゆき）
真司のクラスメイト
黒髪ロングの美少女。
明るくハキハキ元気な女の子。
真司に自給は三百円だが、最後まで勤め上げればどんな願いも一つだけ叶うという死神のアルバイトを紹介する。
朝月静香（あさつき しずか）
真司の元カノ
ショートカットの美少女。
快活な花森と対照的に穏やかで優しい印象。
朝月詩織（あさつき しおり）
静香の妹
一型糖尿病で入院しており体の不調によるストレスで家族と話さず、静香にも辛く当たる。
黒崎（くろさき）
真司が担当した二人目の死者
色黒で横柄な態度のおじさん。
河原で無くした手紙を探している。
死者の持つ能力で、他人の名前が分かる。
広岡加奈（ひろおか かな）
真司が担当した三人目の死者
眼鏡で黒髪の女性。
生後四か月の智明という男の子の母親。
彼女の未練は息子がちゃんと生まれたのか知る事らしい。
彼女の持つ死者の能力は他人の嘘が見抜けるというもの。
あらすじ
会社の倒産により借金を負った父親。その返済の為、困窮する家計。
真司はそんな金の無い状況である目的の為に何とか五万円を捻出しようとアルバイトを探していた。
やって来た花森の話では一日四時間、時給は三百円。
つまり働いても得られる額は千二百円だ。
半年、勤めあげれば願いが叶うと言うが……。
無いと思いつつも真司の脳裏にはバイトの面接での情景が浮かんでいた。
暴行事件を起こした元政治家の息子。
そのレッテルは真司に何の責任が無くても、採用への道を阻む。
翌日、返事を聞きにやって来た花森に真司は署名した契約書を突き付けた。
花森はこれで正式採用だねと笑みを浮かべると、前払いで1200円を真司に手渡した。
早速、仕事へ行きますか。そう言って花森が向かった先は真司の元カノである朝月静香の家だった。
感想
死者が無念を残し現世に滞在する事で生まれるロスタイム。
そのロスタイムによって改変される歴史。
登場する死者は生きていた時と同様、普通の暮らしを続けており真司にはそうだと言われなければ相手が死者なのか、生者なのか判別が付きません。
また、死神になった事で死者が送られ消えた後、修正された歴史の中で死神である真司と花森だけが、関わった死者との思い出を忘れず持ち続ける事になります。
出会った時には既にその人は死んでいて、何をやっても消える事は変わらない。
出来る事は心残りを解消し見送るだけ……。
読んでいると何処か寂しさと共に暖かさを感じます。
まとめ
バイト期間、半年を勤め上げればどんな願いも叶う。
その願いで死者を生き返らせる事は出来ないのかな……出来ないんだろうなとか考えてしまいました。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
原作者の藤まるさんのTwitterはこちら。
作画担当の桐原いづみさんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
