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きみは謎解きのマシェリ 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

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マルセルウェーブ
きみは謎解きのマシェリ 1 アクションコミックス

著:糸なつみ
出版社:双葉社

昭和初期、日本初の女性探偵として銀座探偵事務所で働く職業婦人、星野美津子(みつこ)はある日、喫茶店で依頼人への報告の後、その店のボーイらしき美青年に声を掛けられる。

美津子が探偵だと知った彼は、店の前に落ちていたダイヤ付きの靴の持ち主を探して欲しいと頼み……。

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登場人物

星野美津子(ほしの みつこ)
銀座探偵事務所で働く職業婦人
黒髪マルセルウェーブの女性。
元々は父と同じ警官になりたかったが、当時、女性警察官はおらず夢破れる。
その後、銀座探偵事務所の所長に声を掛けられ、日本初の女性探偵となった。
その事で事務所の入り口に落書きされるなどの嫌がらせを受けている。
事務所内での業績はトップ。

吉田蒴(よしだ さく)
黒髪の美青年
店先に残された靴の調査を美津子と一緒に始める。
靴の装飾が本物のダイヤだと見抜くなど、高い審美眼の持ち主。

所長
銀座探偵事務所の所長
白髪眼鏡でチョビ髭の太っちょおじさん。
猫好き。
職業差別を受ける美津子を励まし、ゆっくり変えていこうと元気づける。

正一(しょういち)
靴の落とし主だと名乗り出た青年
くせ毛眼鏡の男。
彼は靴を幼馴染へのプレゼントだと話したが、動揺していたのかその態度は明らかに不審だった。

文江(ふみえ)
正一の幼馴染で呉服屋の娘
黒髪おさげの少女。
彼女は正一に好意を抱いている様子。

六嶋白三郎
そばかすの青年
幼いころ見た美人画の捜索を美津子たちに依頼する。

文水栄(ふみみず さかえ)
白三郎が手に入れた美人画を描いた画家
白三郎が幼い頃、見た絵の作者は河上地斎(かわかみ ちさい)であり、白三郎は文水栄が元の絵を真似て描いたのではと推測した。

長谷川野良(はせがわ のら)
映画女優
黒髪ロングの悪女系美女。
映画だけでなく舞台などでも活躍している。

五木夏目(いつき なつめ)
野良と同世代の清楚系女優
一年ほど前、自殺しこの世を去った。
その自殺の理由は、野良のいじめによるものと業界では噂されている。

岡田(おかだ)
野良のマネージャー
短髪でガッチリした体の男性。
役のイメージからアンチによる誹謗中傷の多い野良を心配し、自分が仕事でいない間、野良を見守って欲しいと美津子たちに依頼する。

黒澤(くろさわ)
天文学の教授
白髪眼鏡の穏やかなおじさん。
不審な電話に不安を覚えた家政婦が美津子たちに犯人捜索を依頼したが、彼自身は大事にするつもりは無い模様。

新堂志津男(しんどう しづお)
刑事
中折れ帽にコート、マフラーで咥えタバコの男。
女だてらに探偵をやっている美津子にきつく当たる。

あらすじ

蒴が喫茶店の前で拾った靴の装飾。
それは本当にダイヤだった。

美津子はそこから靴がイタリア製で、先月、近くの百貨店に入ったばかりだと突き止めた。
その報告の為、店を訪れた美津子の前に、靴は自分が落としたのだと一人の青年が現れる。

美津子は持ち主発見と声を上げそうになるが、それを蒴がそっと止めた。
靴はダイヤのついた高級品だ。
美津子たちの話を盗み聞きした男は、それ目当てに名乗り出たのかもしれない。

男は幼馴染にプレゼントしたかったのだが、喧嘩をしてしまい自棄になって、一足は店の前に落とし、もう片方は川に捨てたと話した。

プレゼントするための靴をなぜ、バラバラの場所で投棄したのか。
あまりに怪しすぎる男に、蒴は思い出したと彼が呉服屋の娘と店によく来ていたと話を始めた。

娘の家は厳格で格式ばった家系であり、こんな派手な靴は似合わないし、父親が許さないと続けた。
それを聞いた男は、知った気になって決めつけないでいただきたいと声を荒げ、店を出て行った。

「やっぱり嘘だったか……」

そう言った蒴に、美津子は決めつけるのは早いと言葉を返した。

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感想

昭和初期、職業婦人に関する偏見が今よりも更に強かっただろう時代。
女性の探偵として働く美津子は作中、見下されたり、誹謗中傷されたりしています。

ただ、そんな偏見に屈する事なく、美津子は真っすぐに依頼に取り組み、そんな美津子を好ましく思う蒴も彼女の助手として二話目以降、依頼に関わっていきます。

作品は和洋折衷な昭和ロマンを描く物ですが、扱っているテーマは現代でも問題になっているモノが多いように感じました。

LGBTQの事、職業による男女差別、有名人への誹謗中傷など。

作中の時代から百年ちかく経った現代でも、同様の事は起きているように思います。
このブログでも何度か書いていますが、カテゴリーにより先入観を持つのではなく、その人物個人として見て考え決める事。
それが大事なんじゃないかな。

収録されたエピソードを読んでいてそんな事を思いました。

まとめ

男らしさ、女らしさ。
時代の風潮やこれまでの文化や歴史。
そんな人間社会が生み出してきた通例が、らしさというモノを形成しているように思います。

それは人間が集団で生きる上で必要な要素なのかもしれません。

ただ、進化のため、揺らぎ続ける生物にこうあるべきというルール―付けは無意味にも感じます。
人が人らしく、後ろめたさを感じる事なく生きれる社会。
そんな社会になればいいなと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
作者の糸なつみさんのTwitterアカウントはこちら

※イメージはPixabayのMichael Houriganによる画像です。
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