ミステリと言う勿れ 9 フラワーコミックスアルファ
著:田村由美
出版社:小学館
以前、事件で知り合った汐路(しおじ)経由で、彼女らの叔父だという瓜生晃次(うりゅう こうじ)から双子を見分けて欲しいと依頼を受けた整(ととのう)。
亡くなったP・ピジョン前社長、鳩村一葉(はとむら いろは)の遺児である有紀子(ゆきこ)と美都子(みつこ)は瓜二つで頻繁に入れ替わる為、現在世話をしている管理人、畑中夫妻にも見分けは付かないらしい。
家庭教師という形で鳩村の家に入った整は双子との会話や畑中夫妻の話、そしてライカの「前提が間違っているんじゃないか」という言葉から彼女達が双子では無く三つ子であると結論付けた。
登場人物
鳩村藍糸子(はとむら あいこ)
鳩村一葉(はとむら いろは)の娘、三女
鳩村有紀子・鳩村実都子(はとむら ゆきこ・はとむら みつこ)の妹。
三つ子である事を一葉及び管理人である畑中夫妻により隠されていた。
有紀子、美都子、藍糸子は互いに入れ替わりながら生活していた。
万美(まみ)
鳩村一葉(はとむら いろは)の妹
幼い頃、風呂で溺れ亡くなった。
棋絵(まきえ)
鳩村一葉(はとむら いろは)の母親
現在は介護付きの有料老人ホームで暮らしている。
万美の死について一葉にきつく当たった過去を持つ。
楡崎(にれざき)
一葉の義理の弟である瓜生晃次(うりゅう こうじ)の部下
細目の老人。
息子の事で何か抱えている。
鳴子巽(なるこ たつみ)
心理カウンセラー
我路(がろ)の姉である愛珠(あんじゅ)のカウンセリングを手掛けた。
都心の一等地にクリニックを構える人気カウンセラー。
治療には催眠術を用い、過去を聞き出す模様。
鳩村一葉も彼の患者だった。
友香(ゆか)
青砥(あおと)刑事の娘(12)
黒髪ショートの小学生。
整が遭遇した誘拐事件に巻き込まれる。
小諸武史(こもろ たけし)
六年前に起きた連続幼女誘拐殺人事件の容疑者
眼鏡を掛けた何かに怯えた様子の男。
青砥が担当し、犯人として起訴したが証拠不十分で無罪となる。
青砥は彼が何か隠していると確信しているようだ。
現在進行中の誘拐事件に関係している。
あらすじ
三つ子が入れ替わり三人目を隠して双子のふりをしている。
何故、彼女達がそこまでの労力を使いそんな事をしているのか。
整はそうしなければ危険だからだと推測した。
そう話した整に管理人の老婦人、詩(うた)は三つ子の母親である一葉の過去を語り始める。
一葉は元々三姉妹だった。その中の一人双子の妹であった万美を疲れてうたた寝している母親に変わり当時六歳だった一葉は風呂に入れた。
しかし、彼女が自身の髪を洗っている間に万美は風呂で溺れ亡くなった。
一葉の母親であった棋絵は取り乱し幼い彼女を責めた。
その後、家族はバラバラになり、一葉は一連の出来事を引きずっていた。
だがある日、一葉はあれは自分の所為では無かったと明るい顔を見せた。
彼女が言うには鳩村家には双子が多く、それは三つ子だと下の子を殺しているからだというのだ。
管理人である詩(うた)が何度、死んだのは双子の妹で三女では無いと説明しても、一葉は納得せず、三姉妹は駄目だと三女である藍糸子をいないモノとして、双子である様に見せかけたらしい。
詩も一葉が落ち着くならと、説得を諦め入れ替わりを受け入れた。
三つ子が五歳になるまでと一葉は言っていたが、小学生になっても入れ替わりは続いている。
どう……したら、いいんでしょうね……。
沈む夕日を眺めながら詩は静かに呟いた。
感想
今回は入れ替わりを続ける双子の姉妹、有紀子と美都子、そして隠されていた藍糸子のエピソードの解決編と刑事青砥の娘、友香の誘拐事件の始まりが描かれました。
今回はその中でも三姉妹の話で描かれたリンゴのエピソードが印象に残りました。
作中、整は有紀子と美都子の片方にリンゴの良い所を言わせ、片方がそれに反論するという物を投げかけました。
結果として反論された方は怒りを感じていました。
しかし、否定されたのはリンゴであって反論を受けた者では無いと整は話します。
好きな所、つまり好意的に思っている事柄を否定される事は、自分を否定された様に感じ反発してしまう。
怒りは反論した人物に向かい、人格攻撃や人格否定に陥ってしまう。
ですが、そうでは無く物事を客観的に捉え議論をする事、整は幼い二人にそれが出来る大人になって欲しいと考えた様でした。
エピソードを読んでいて何と言うか、そういう状況は結構見た事あるなぁと少し思ってしまいました。
まとめ
攫われた青砥の娘友香の行方は?
“してんちょう”と名乗る犯人の目的は?
過去の連続幼女誘拐殺人事件と今回の事件との繋がりは?
事件はまだ霧の中で何も分かりませんが、次巻も楽しみです。
この作品は月刊fiowers公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。