傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 5 バンチコミックス
著:磯見仁月
出版社:新潮社
自分を支えてくれたショワズール公爵の罷免。
それがデュ・バリー婦人(べキュー)の差し金だと思い込んだアントワネットは、王宮でのマナーである挨拶をべキューに返す事を止めた。
そんな挨拶戦争と呼ばれる対立を、仕立てたドレスによって止めたマリーはべキューの手配で念願だった自分の店を持つ事になった。
だがそれと同時に、共に王宮を目指すと誓った髪結いレオナールの結婚を知らされ……
登場人物紹介
ジュリ―・ニエベール
ニコレ座の女優
赤毛の美女。
元レオナールの恋人の一人。
ジャン・バプティスト・二コラが創設した劇団の女優。
二コラ座はルイ15世の御前上演で名声を得た。
ハンス・アクセル・フォン・フェルセン
スウェーデン陸軍元帥兼王室顧問官フェルセン侯爵の長男
ユルフワ銀髪の貴公子。
仮面舞踏会でアントワネットと出会う。
ルイ・フィリップ
シャルトル公爵夫妻の長男
後の”フランス人の王”だが今は赤ん坊。
ランバル公妃
シャルトル公爵夫人(ルイーズ)の亡兄ランバル公爵の妻
甥のルイにおくるみを送る等、家族仲は良好な様子。
あらすじ
店を手に入れたマリーは扱う品の確かさやその豪華さで好評を博し、順調に注文も増えていた。
順風満帆な滑り出しではあったが、店を経営する事の難しさにマリーは気を引き締め直す。
そんなマリーの店「オ・グラン・モゴル(ムガル帝国)」に店の権利書をマリーに用立ててくれたべキューが訪れる。
彼女との話は服の話から始まり、アントワネットの事、そして王太子妃付きとなったレオナールへと移って行った。
着実に上に上がるレオナールにマリーはショックを受ける。
べキューの話では彼はブームになっていた彗星をモチーフにした髪型「ア・ラ・コメット(彗星風髪型)」を考案し、アントワネットの髪を結いあげた。
その事でアントワネットに気に入られたレオナールはル・デュー・ドゥ・ラ・コワフュール(髪型の神様)と呼ばれているらしい。
その話の最後にべキューが言った「貴方のことを推してくれるかもよ?」という言葉にマリーは複雑な思いを抱く。
そんなマリーの下へレオナールの弟だという少年が訪ねて来る。
ジャン・フランソワ・オーティエと名乗った少年は、レオナールが生み出した新たな髪型は評判にはなったが、流行(モード)に理解の無い側近たちには不評な様だった。
そこでレオナールはジュルナル・デ・ダム(婦人の雑誌:初のファッション誌)の復刊をジャンに相談、その雑誌の刊行にマリーの協力を仰いだのだ。
マリーは協力を快諾、雑誌の目玉となる新たなファッションを考え始めた。
感想
今回はレオナールが王太子妃付きとなった事で起こった、奇抜な髪型の王宮では流行、そしてアントワネットとフェルセンの危険な恋、再会したレオナールとマリーによるコラボファッション等が描かれました。
今回印象に残ったのはマリーよりも早く王宮へと進んだ、レオナールに対するマリーの気持ちでした。
マリーはレオナールに対して異性に対する好意もありながら、上を目指すライバル的感情、そして尊敬できるアーティストとしての想いも抱いている様に読んでいて感じました。
マリーはレオナールの技術や発想に驚き、レオナールもマリーの髪型にストーリーを乗せるセンスに舌を巻いた様でした。
そんな二人がタッグを組み、新たな流行を王宮に作り出す。
互いが互いを刺激し合う。
マリーとレオナールは結ばれませんでしたが、二人の関係は今の距離がベストだと読んでいて感じました。
まとめ
次巻では現国王ルイ15世が倒れ、時代は革命へと向かっていく様です。
激動の時代が近づき、マリーやべキューがどんな道を辿るのか、次も楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。