お前、タヌキにならねーか? 4
著:奈川トモ
出版社:一迅社
お人好しな化け狸、こがね丸とその周辺の日常を描いた現代ファンタジー。
登場人物
佐竹(さたけ)
高校生男子
学校でいじられ不登校になったクラスメイト、村山がタヌキになっていたのを目撃。
その後、こがね丸により彼もタヌキとなり、山を登る。
キリヤ
ホストのハヤトと同じホストクラブのナンバー2
黒髪でアシンメ髪の青年。
師匠のユウタと出会う前のハヤトに酷い扱いを受け、恨みを抱いている。
祠守の老人
鼬の妖、貂(てん)の封印を守る老人
世に害をなし、僧侶に封印された貂の祠を一人で守っている。
こがね丸はそんな彼と数十年、友人として付き合ってきた。
彼自身、貂の血を引いているのか、白毛の獣の姿が本来のようだ。
藤万(とうま)
現在、鼬の妖、貂の封印を守る青年
祠に縛られており、こがね丸を封じられた妖に食わせれば封印の祠から逃れられると信じている。
一識(いっしき)
籐万に仕える男
黒髪オールバックでサングラスの黒スーツを着た男。
変化の術を用い、祭り中のこがね丸たちを襲撃するが……。
久世(くぜ)
籐万に仕える女
黒髪ポニテで黒スーツを着た女。
父母と離れ一人、祠で暮らす籐万を不憫に思っているようだ。
あらすじ
薬湯を販売しているリンの店の店番を手伝っていたユキは、店を訪れた中二病な化けダヌキ、小豆丸と出会う。
眼光鋭くユキを威嚇する小豆丸だったが、本来の姿に戻った事でユキには可愛いと言われてしまい、困惑を露わにする。
小豆丸はユキの体に染みついたこがね丸の匂いから、ユキの事をこがね丸が女に化けたのだと思っていた。
普段、こがね丸が口にしない称賛の言葉に何かの策略を感じた小豆丸は、匂いを感じリンが店先に顔を出した時には、姿を消していた。
その後、小豆丸の勘違いとその原因、ユキの全身からこがね丸の匂いがすることを告げられたユキは、温泉旅館の事等、こがね丸とのふれあいの数々を思い出し、思わず顔を赤らめるのだった。
感想
今回は冒頭、小豆丸とユキの出会いから始まり、薬湯屋の化けダヌキ、リンの正体の発覚とその顛末、いじられ不登校になった村山と彼を気にかけながら何も出来なかった佐竹、小学生ユウタとの出会いで変わったホストのハヤトと、彼に恨みを持つキリヤと女たち、異種族夫婦、タヌキチとリクとこがね丸たちとの遊園地ダブルデート、妖、貂の祠守、籐万による祭り襲撃等が描かれました。
今回はその中でも鼬の妖、貂のエピソードが印象に残りました。
この作品は現代社会で疲れた人間をこがね丸がタヌキにして導き、それにより癒されていくといったハートフルなお話が多いですが、貂の一族は祠守は祠から離れると、その貂に憑りつかれる呪いというか、宿命を背負っているようです。
現在の祠守、籐万もその例に漏れず封印の祠から離れると、貂に意識を乗っ取られていました。
過去にこがね丸と接点があった様子の貂。
凶暴な妖が今後、物語にどんな影響を及ぼすのか。
次回の展開が楽しみです。
まとめ
貂の一族の登場でかなりシリアス路線に傾いた本作。
ただ、タヌキたちは相変わらずお祭り好きでにぎやかで……。
一識と久世という配下はいても、友人のいない籐万。
こがね丸が彼とどう接していくのか。
封じられた貂をどうするつもりなのか。
続きが気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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