ソフィアの円環 2 BLADEコミックス
著:山田怜
出版社:マッグガーデン
形見の指輪を介し巨大少女人形と繋がり彼女を動かせる事が分かったヴィンクルムの少年アルス。
彼はソフィアの故郷に帰りたいという願いを叶える為、エネア率いる大道芸集団レーガ・サンタに加わる事となります。
アルスが加わり、より滑らかに動く様になったソフィアの存在もあり、評判となったレーガ・サンタの噂は王を暗殺した王太子カミュ―の耳にも届き……。
登場人物
リンドール
王族上級顧問
フォスキアの王族に仕えるノリの軽い青年。
カミュ―
王太子
黒髪顎鬚の鋭い目つきの男。
父親である王を殺害した次期国王。
ソフィアに強い興味を持つ。
リリアナ
カミュ―の妹
兄カミュ―の計画を知り、ソフィアに命を与えるアルスをソフィアから引き離そうと画策する。
あらすじ
王太子に呼ばれ王都メトロポリタニアを訪れた、大道芸集団レーガ・サンタ一行。
依頼は前王の葬儀並びに戴冠式の催事を執り行う事。
しかし、それは表向きの事であり王太子カミューの狙いは、かつて兵器として使われた巨大人形(クリプタ)であるソフィアを手に入れる事だった。
カミュ―は前王に純粋なフォスキア人である事を求められ、その事で自身に流れる多民族の血を憎んでいた。
彼は正妻との間に子が為せなかった前王が、戯れに手を出した他民族の娘が身ごもった子供だった。
折檻を伴う教えは彼の中で呪いとなり、やがてそれは王国で暮らす他民族へと向かった。
彼は王国に住む多民族を全て抹殺する為、兵器としてソフィアを欲していた。
一方、そんな兄の計画を知った王女リリアナは、ソフィアが動く為に必要な力を有するヴィンクルムの少年アルスを拘束。
アルスとソフィアを切り離し、その間にソフィアの破壊を画策するのだった。
感想
今回は王太子カミューの狙いとそれを止めようとする妹のリリアナ、二人の王族の姿をメインにソフィアの素性等が語られました。
それによって、ソフィアが巨大人形(クリプタ)呼ばれる元々は土地の開拓の為生み出された物であると同時に、不安定なヴィンクルムの力を流用する事でヴィンクルムにも安定をもたらす物である事が分かりました。(ヴィンクルムは余りある焚物(エネル)によって容易く暴走してしまう)
しかし、戦争によって悪化した戦況を覆す為、戦線に投入。
力の源としてヴィンクルムでは無く一般人を採用した巨大人形(クリプタ)は特攻兵器として使われていた模様です。
当初は発展の為に作られた技術が、戦争によって兵器に変わる。
実際の人類の歴史でもそれは珍しい事では無いように思います。
例えば車や飛行機、ロケットなんかも、最初は夢や利便性を求めて作られたのでは無いでしょうか。
ですが人はそれを戦争に流用してしまった。
戦いは笑顔や喜びを生む筈だったモノを容易く血と恐怖を生むモノに変えてしまう。
今回のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻の終盤、レーガ・サンタはソフィアが帰りたいと願う故郷(パトリア)を探す為、フラール地方を目指す事を決めました。
そんな団長であるエネアの判断に不満を見せたブルーノの動き等、次も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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