外科医エリーゼ 6 フロースコミック
漫画:mini
原作:yuin
出版社:KADOKAWA
野戦病院の環境を改善し、疫病によって亡くなる兵士の数を劇的に下げる事に成功したエリーゼ。
献身的なその姿は兵達からランプの女人と呼ばれ崇拝される。
そんなエリーゼの噂は敵である共和国側にも流れ、彼女に固執する司令官ルイはアンヴィル(鉄床)作戦(総攻撃)を命じるのだった。
登場人物
カルマン
チャイルド家公子アルバートを慕う子爵家の子息
灰髪緑眼の青年。
ラオス
カルマンと同様アルバートを慕うラオス家の子息
黒髪碧眼の青年。
ガルト
クリミア戦争に従軍している准将
総司令官である兄のリンデンを昏倒させたミハエルを営倉へと連行した。
元親衛隊として幼い頃のリンデンをよく知る。
あらすじ
野戦病院の衛生状況を見直し、死亡者を42%から2%まで激減させたエリーゼ。
実家及び国民からの支援で医療品も届き、グレアム達、仲間の医師も応援に駆け付けてくれた。
そんな中、前前世で兄クリスが戦死する事になったアンヴィル(鉄床)作戦を共和国側が展開していると情報が入った。
医療改革を成功させ地位的に大佐となったエリーゼは、後方担当である病院責任者という立場でありながら軍議に参加する運びとなる。
兄の死によって作戦の概要を知っていたエリーゼは、発言する事に躊躇を感じながらも、ルイの狙いがアンヴィル(鉄床)つまり全体攻撃では無く、中央軍を狙ったチーゼル(鏨:たがね)とハンマーだと説明した。
ルイの狙いは中央軍の戦力の分散。
現在三軍に分かれている帝国軍の両翼に当たると見せかけ、中央軍が両翼に部隊を派遣した間隙を突き、部隊を中央軍に向ける物だった。
その布石として共和国軍は帝国東軍にボクネ要塞を開け渡していたのだ。
エリーゼの説明を彼女とは敵対していたチャイルド侯爵家の公子、情報部参謀であるアルバートも支持した。
さらに砂漠のサソリと呼ばれたルイが全体攻撃を選択した事に違和感を覚えていた総司令官リンデンも同意。
結果、帝国側は敵の動きに合わせ、増援を送るフリをし逆に共和国軍を挟撃する策を選択したのだった。
感想
今回は冒頭、以前は甚大な痛手を帝国軍に与えた共和国軍アンヴィル作戦に対するの軍議から始まり、腹部に擲弾(銃弾型手榴弾、グレネード弾、不発の為、腹部に残った)を受けたアルバートの治療、作戦の失敗でエリーゼに憎しみを募らせるルイの姿等が描かれました。
今回読んでいて戦争物を見るたびに思う、傷付いた兵士を治療する医師の虚しさを感じました。
医師は兵士の命を救いますが、回復した兵士は再び前線へと向かいます。
命を救う事は尊い事だと思います。しかし救った命が銃を取り誰かを殺し、そして誰かに殺される。
戦争は嫌だなぁ、平和な方がいいなぁと改めて思いました。
まとめ
今回もエリーゼはルイの策を破る事となり、彼の憎しみは寄り一層強くなった様でした。
その事が今後、エリーゼにどんな事態をもたらすのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。