チ。 ―地球の運動について― 第四集 ビッグコミックス
作・画:魚豊
出版社:小学館
膨大な資料を持ち、師である教授の研究を受け継いだピャスト伯。
天動説では満ちる筈の無い金星が満ちている事を目の良いオグジーの観測によって証明され、ピャスト伯は資料庫の鍵をバニーデに託し亡くなりました。
ピャスト伯から受け継いだ資料を基に、バニーデは地動説を更に穴の無い物へと変えていき……。
登場人物他
クラボフスキ
バニーデの教会の宣教師
口顎鬚の男。
C教では異教であるルクレティウスの詞に強い興味を持っている。
表面上はそれをC教の為と取り繕っている。
あらすじ
資料を得たバニーデは教会での研究は危険と判断し、研究場所をオグジーに貸し与えた納屋へと変更した。
そういった訳で彼の住む納屋を訪れたバニーデは、オグジーがヨレンタから文字を習い何かを書いている事を知る。
そんなオグジーの行為を無駄だとバニーデは切り捨てた。
文字として残された物は今後も長く情報として後世に残る。
つまり、オグジーの様な知識と教養を持たない者が書いたいい加減な情報が残ってしまうという事だ。
だいたい、何で君が文字を使える必要がある?
そう尋ねたバニーデにオグジーは、これまで自分が関わった地動説に関わる顛末を物語として書きたいと答えた。
彼の言葉を聞きながらバニーデは「は?」を三回繰り返した。
何故、そんな事をするのかバニーデには全く分からなかった。
なんで足がつくかもしれない危険を冒して、ここ数ヶ月の事を書きだしたくなったのか、急に!
オグジー自身、そんなバニーデの問い掛けに明確な答えは返せなかった。
感想
今回はピャスト伯から資料を受け継いだバニーデによって、地動説は彼曰く一応の完成をみます。
それを以ってバニーデ、オグジー、ヨレンタの三人が祝杯をあげていると、異端審問官のノヴァクが出張のついでに娘のヨレンタに会いにやって来ました。
その後、異端の匂いを嗅ぎ取ったノヴァクはバニーデ達を捕縛に向かうのですが……
とまぁ、読んでいて、ヨレンタってノヴァクの娘だったのかよッ!?と思わずツッコミを入れてしまいそうな展開でした。
今回、印象に残ったのは危険を感じたバニーデとオグジーが逃亡の準備をしている時話していた、研究における間違いの話でした。
現在の学問でも長年信じられて来た説が一つの発見で覆る事はあると思います。
そんな時、いままでの学説に拘るのか、それとも新しい説を受け入れるのか。
個人的には間違いを認め新たな説を受け入れ研究する方が、先に進めるように思います。
作中、オグジーが言った何かを完全に正しいと信じる事、それは学問では無く信仰だという言葉、それは真理であり正しい事の様に感じました。
まとめ
バニーデが完成させたという地動説。
異端審問官であるノヴァクが迫る中、オグジーとバニーデはそれを守れるのか。
次巻も楽しみです。
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