ブルージャイアントエクスプローラー 3 ビッグコミックススペシャル
作:石塚真一
出版社:小学館
後に世界的なサックスプレイヤーとして名を馳せる、宮本大の軌跡を描いた作品。
そのアメリカ編。
ポートランドを出た大は次の目的地、西海岸の大都市サンフランシスコへと向かいます。
そのポートランドの出口で以前拾ったヒッチハイカー、ジェイソンと再会し大は再び彼を乗せる事にしたのですが……。
あらすじ
ジェイソンを乗せ大は南、サンフランシスコを目指す。
その旅の最中も大は毎日サックスを吹いた。
音楽に興味の無かったジェイソンだったが、大の出す音を聞いて彼の音楽に魅かれていく。
その後、ポートランドでの収支を聞いたジェイソンは大のエージェントを買って出る。
バイトで金を貯め、その金を使い旅をしながらスケボーを楽しんでいるジェイソン。
大は音楽に興味もなく、いい加減な所もあるジェイソンにマネジメント業は無理だろうと感じていたが、彼に押し切られる形でなし崩し的にそれを認めてしまった。
サンフランシスコ到着後、大は直ぐにいつもの様にライブハウスに飛び込んだ。
一軒目、大はジェイソンには黙っている様指示し、いつもの様に交渉を開始した。
結果はNO。
現状、アメリカでは無名なアジア人であり、バンドも実績も無い大ではステージに立つのはやはり難しいようだ。
その様子を見ていたジェイソンは、二軒目の交渉は自分に任せろと言い出した。
そしてもし今日中に二軒、オファーが取れたらステーキを奢れと持ち掛けた。
その後、車内で大の経歴を聞いたジェイソンはそれを踏まえた上で、大をかなりハッタリを効かせ売り込んだ。
有名なジャズクラブ「So Blue Tokio」での演奏の事から始まり、欧州でのライブ、アーティストビザを取る際、推薦してくれたサム・ジョーダンとの関係もほのめかせオファーをもぎ取る。
その後も使えるモノは全て使うクレバーなやり方でジェイソンはオファーを取る事に成功し、夕食のステーキを大に奢ってもらったのだった。
感想
サンフランシスコでのライブはジェイソンというエージェントの力もあり、以前よりも順調にステージに立つ事が出来た様でした。
今回印象に残ったのは、そんなライブの中で出会ったドラマー、アレックスでした。
中国系アメリカ人のアレックスはアジア人である事で、アメリカのジャズシーンにおける壁を感じていました。
ジャズは元々黒人の音楽としてスタートしたモノで、人種的なヒエラルキーで言えば、黒人、白人、ヒスパニック、そしてアジア人は最下位だとアレックスは考えています。
そんなアレックスを大は珍しく口汚く罵ります。
へたくそ、人種も何も関係無い、グダグダ言ってねぇで練習しろ。
ヨーロッパでは大もアジア人という事で門前払いを受けていました。
それでも彼は諦める事無く挑戦を続け、最後には大勢の人に認められる事になりました。
確かにジャズは黒人、ロックは白人といったイメージが強く、アジア人が入って行くには本場アメリカでは厳しい事も確かでしょう。
しかし人種を言い訳にして挑戦しなければ、ゼロのままの筈です。
大が汚い言葉を使ってまでアレックスにハッパを掛けたのは、自身も同様の差別を受けた経験があったからではと読んでいて思いました。
何となくですが、大はアレックスに諦めて欲しくなかったじゃないかなぁ。
まとめ
サンフランシスコでの滞在を終えた大。
彼は次に世界第三位の都市ロスアンゼルスへと向かいます。
大都会ロスで大にどんな出会いがあるのか、次も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。