騎士譚は城壁の中に花ひらく 2 ガルドコミックス
著:ゆづか正成
出版社:オーバーラップ
故郷の梯子の城(スカーラエ)を戦火で失い、騎士ヒルンドーに救われ錠の城(クラウストラ)へとやって来た騎士見習いのロサ=スカーラエ。
今回は穏やかな城の暮らしだけでなく、騎士達の留守を狙った野党の襲撃も収録されました。
リアルな中世の騎士達の生活を描いた作品です。
登場人物
アンセル=オムニア
騎士で吟遊詩人
長髪にリュートのイケメン。
ロサにヒルンドーの過去を語る。
グルース
錠の城(クラウストラ)のパン焼き職人
もじゃもじゃ髯の陽気な老人。
騎士達にも評判の白パンを焼いている。
パンを焼き上げる時には踊りを踊る。
元はクラウストラの騎士を束ねた騎士長だった。
ガルデニア
染色師
妙齢の女性。
職業上、城から離れた場所に一人暮らしている。
城代
錠の城の城代
口顎鬚のおじさん。
城主が留守の間、城の運営を担う。
あらすじ
馬上槍試合、トーナメント後の宴会でしたたかに酔っぱらったヒルンドー。
彼のお守りをしていたロサの耳に吟遊詩人の歌が聞こえて来る。
詩人であり騎士だというその男が歌っていたのは、騎士達の冒険を歌った騎士物語。
色んな騎士のお話があるんですねぇ。
そう言ったロサにヒルンドーは騎士の数だけ騎士の生き様って奴があっていいと語った。
そんな彼の言葉を聞いて、ロサはヒルンドーが右腕を失い戦えなくなったのは、梯子の城(スカーラエ)を救うため駆け付けてくれた事が原因だった事を思い出す。
それを伝えようと振り返った時には、ヒルンドーは再び壁にもたれ眠っていた。
再び部屋で寝る様、彼を起こしにかかったロサに先ほどの吟遊詩人が声を掛ける。
詩人のお目当てはヒルンドー、彼は苛烈の二つ名を持つ荒々しく勇猛な騎士だった。
感想
今回は吟遊詩人アンセルとの出会いで、かつてロサを救ったヒルンドーの過去を知り、自分のなりたい騎士の姿を考えたロサのエピソードから始まり、パン職人グルース、城の修繕をする石工、森での一夜、染色師ガルデニア、夜の見廻り、野党の襲来と騎士の忠誠等が描かれました。
今回はその中でも冒頭のロサの目指す騎士の話が印象に残りました。
ロサの目的は失った錠の城(スカーラエ)を取り戻す事、その為に強い騎士になろうとしています。
また、城を襲った者達への復讐も望んでいます。
しかし、奪われた痛みを知るロサは復讐によって同じ思いを持つ者を生み出す事も危惧しています。
その重さを全部自分で背負える様になってから、もう一度考える。
作中、アンセルにそう答えたロサがどんな騎士になるのか、先が楽しみです。
まとめ
この巻のラスト、二年の月日が流れ従騎士(スクワイヤ)となったロサ。
見習いが取れたロサの前にどんな事が起きるのか、次巻も読むのが楽しみです。
この作品はコミックガルドにて一部無料でお読みいただけます。
作者のゆづか正成さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。