BADON バードン 4 ビッグガンガンコミックス
著:オノ・ナツメ
出版社:スクエアエニックス
元犯罪者、ハート、リコ、エルモ、ラズ。
四人が首都バードンで再起をかけ開いた煙草店「プリミエラ」の物語。
前回はリコをメインに据え、プリミエラが扱っている「ホーク」を作ってたナッティが過去に携わった大麻入りのタバコを巡る一件が描かれました。
その件も二つの友情の復活で幕を閉じ、今回は男四人の店の台所を預かる小さな家政婦リリーがメインで描かれます。
登場人物
ロビン
プリミエラの入るツタ・アパートの最上階に住む老婦人
アパートの大家であるフェザントとは古い友人。
マリカ・ウォルナット
リリーが参加した子供大学の参加者の一人
背の高い13歳の少女。
格差や貧困を無くしたいと高い理想を描いている。
実家のウォルナット家はバードンでも裕福な家のようだ。
イルマ
南区のヤッカラ街にすむ女性
黒髪で面倒見のいい女性。
周辺の顔役のような事をしている。
彼女の作るパイはヤッカラ風でとても甘い。
ミルコ
南区のヤッカラ街にすむ男
赤毛パーマに顎鬚の男性。
恋人のミーナの意趣返しで弟ヴァスコの提案に乗り誘拐を企てる。
ミーナ
ミルコの恋人
オカッパのスレンダーな女性。
家政婦として働いていたが、指輪を盗んだと疑いを掛けられ解雇。
後日、指輪が出て来た後も復職は叶わず職を失った。
ヴァスコ・フィオーリ
ミルコの弟
目つきの悪い赤毛くせ毛で顎鬚の男。
ミルコに身代金目的の誘拐をほのめかす。
ココ
南区のヤッカラ街にすむ老婦人
眼鏡を掛けた恰幅のいい女性。
レストランを通り沿いに出店し、貧しい者の暮らす南区では成功した人物の一人。
ロニー・レイル
殺人課の新米刑事
人身売買に関わった男の殺人事件に関与していると目されるヴァスコの後を追っている。
あらすじ
家事の出来ない男四人の世話を一手に引き受ける少女リリー。
ある日、不動産屋のケントがリリーに向けて、大学生が講義等を行う子供大学への参加を提案に来る。
学校に通っておらず同年代の友人のいないリリーの事を考え、リコたちは彼女に参加を勧めた。
リリーも参加したいと内心思ってはいたが、四人への遠慮もありその場は考えますと言うにとどめた。
その翌日、ペリカン市場で開かれた朝市に向かったハート、リコ、エルモ、リリーの四人はハチクマの店員たちと市を回り、南区に住むという黒髪の女性と面識を得た。
その朝市でケント夫婦と会ったリリーは再度、子供大学への参加を打診された。
帰宅後、南区の女性が売っていたサクランボパイを食べ、リリーは祖母が焼いてくれたパイを思い出した。
そして夜、昨日ソファーで寝たハートを心配しリリーが顔を覗かせる。
彼女の身の上を知るハートはパイを食べたリリーの横顔を思い出し、彼女の祖母の事、そして父親の事を話題に出した。
そんな話を続けるうち、ハートは子供大学の一件をリリーに切り出した。
ハートは彼女が参加したいと思っている事に気付いており、あまり遠慮をしているとリコが気を揉むと彼女の背中を押した。
そして後日、子供大学に参加する地元の生徒達とリリーは出会う事となった。
感想
今回は冒頭の子供大学へのリリーの参加から始まり、その参加者であるマリカとリリーの誘拐がメインに描かれました。
今回のエピソードで印象に残ったのは、格差や貧困を無くしたいと言っていたマリカが、実際に貧しい南区で暮らすココの話を聞いた事で感じた難しさについてでした。
裕福な家庭に生まれたマリカは、貧困を無くしたいと語りながらも資料でしか貧困層の暮らしを知らなかったのではないでしょうか。
書籍やデータで分析は出来ても、実際に生きる人の声を聞き現場を見て感じないと全ては机上の空論になる様に思います。
南区で生きて来たココの話を聞いて泣いたマリカ。
その時、彼女自身が貧しいという事がどういう事かを、初めて肌で感じ取ったのだと読んでいて感じました。
まとめ
今回はリリーの過去や彼女がハートに預けられる事になった経緯が語られました。
次回はラズのお話でしょうか。
人混みを嫌い事務所にいる事の多いラズ、彼にどんな物語があるのか読むのが楽しみです。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。