よふかしのうた 12 少年サンデーコミックス
著:コトヤマ
出版社:小学館
探偵の鶯アンコ(目代キョウコ)の父親を吸血鬼にしたのは、コウの友人、マヒルが想いを寄せる星見キクだった。
コウはアンコから聞いたキクの話を聞き、マヒルと会い危険性を伝えるが、キレたマヒルはコウに拳を振るった。
その事でコウは暴走、吸血鬼の力を発現させマヒルの顔を締め上げた。
その後、ナズナの介入でマヒルは事なきを得たが、キクに騙されているかもと理解しつつも彼はキクといる事を選んだ。
喧嘩別れのような形になりコウは落ち込んだりもしたが、得た力(半吸血鬼化)を制御する術を見つけ、マヒルとの仲直りを望み……。
登場人物
アザミ
黒スーツサングラスの吸血鬼
アンコを狙いコウ達に襲撃を掛ける。
キクの眷属。
元ヤクザ。
女吸血鬼
前髪で目を隠したダボダボニットの女。
吸血鬼の自警団らしく、無秩序に眷属を増やし問題を起こすキクの排除を望む。
あらすじ
半吸血鬼化の制御を訓練するコウとナズナの裏で、アンコはマヒルの家に忍び込んでいた。
何日も家に帰らないマヒルを全く心配した様子のない母親。
それに異常さを感じたアンコは、目立たぬようOLに変装しマヒルの家に入り込む。
使い込まれているが整えられたキッチン。
テレビの位置、寝室の様子。
そんなモノからアンコはそこに住む人々の暮らしを推測する。
その家の様子に、ごく普通な印象を抱いたアンコだったが、それゆえにおかしさを感じていた。
マヒルの兄は小学生の時に亡くなっている。
子供を亡くし、仏壇を置かないという事があるだろうか……。
宗教的に置かないとか、それとも金銭的な問題?
そんな事を考えながら、アンコは家を探索。
最後にマヒルの部屋だろう、子供部屋へと足を運ぶ。
ドアの向こうには、二段ベッドの柱にランドセルがかけられ、その横には小さな学習机が置かれていた。
その学習机に置かれた教科書の名前を見てアンコは凍り付く。
せきしょうご。
取り払われた台所のドア、代わりに付けられたビーズカーテン。
そしてその先に見える玄関。
誰が帰ってきたか……すぐわかるし……。
マヒルの母親は息子の死をまだ受け入れられていない。
アンコはマヒルの居場所がこの家にないことを、悟った。
感想
今回は探偵、鶯アンコ(うぐいす あんこ)によるマヒルの家の探索から始まり、アンコの報告と今後の方針、吸血鬼アザミ襲来、半吸血鬼化のトリガーとアザミの目的、女吸血鬼乱入、透過について、女吸血鬼とコウなどが描かれました。
今回はその中でも、冒頭、アンコの調査で分かったマヒルの家についてが印象に残りました。
マヒルの兄、しょうごは幼いころ、交通事故で亡くなりました。
それにより母親は精神を病み、父はそんな母を看るため仕事を辞めずっと家にいるようです。
サッカーが上手く、頭もよく人気者だったというしょうご。
息子を失ったことを受け入れられず、ずっと待ち続ける母親。
そんな母親に寄り添う父親。
そこにマヒルの居場所は無く……。
状況や情報からのアンコの推測なので、実際マヒルがどんな扱いを受けていたのか想像するしかないのですが、家族はマヒルに目を向ける事はなかったのではとエピソードを読んでいて感じました。
まとめ
吸血鬼の自警団だという女吸血鬼。
この巻の終盤、コウは半吸血鬼化し彼女と激しい戦いを繰り広げます。
なんだか吸血鬼よりも強いコウ。
彼がどうなってしまうのか、続きが気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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