メダリスト 4 アフタヌーンKC
作:つるまいかだ
出版社:講談社
オリンピック銀メダリスト鴗鳥慎一郎を父に持つ少年、理凰がいのりの所属するルクス東山にやって来る。
理凰はヘッドコーチの高峰に指導を望んだが、彼女は司をコーチに推薦、鴗鳥にも頭を下げられ司は理凰を指導する事になった。
そんな訳でグループレッスンを受ける事になった理凰。
その彼にコーチを変えた方がいいと言われたいのりはそれに反発。
理凰よりも先に三回転+二回転を降り、司が凄いと証明すると宣言するのだった。
登場人物
白根琥珀(しろね こはく)
バレエ教室「N*K」講師
長髪バンダナの軽薄な男性。
国内大会で優勝経験もあるバレエダンサー。
メンタルは弱め。
あらすじ
金メダリスト夜鷹純と彼の指導を受ける光。
二人のレベルの高さを目の当たりにした理凰は、表向きは父慎一郎が指導している事になっている光と自分を比べ悔しさと共に才能の違いに諦めを感じていた。
そんな光に勝つと宣言したいのり。
理凰は何の実績もない司では無理だ。現実を見ていないと言うが、いのりはそれに強く反発した。
これまで司に助けられ、導かれてやって来たのだ。
「司先生が凄いって証明するから!」
司の登場で二人の言い合いは終息するが、いのりが理凰に宣言した今年中に三回転+二回転を降りて6級に受かり全日本ノービスに出場するという思いは当座の目標となった。
クラブからの帰り、それを司に伝えたいのりだったが、司にはダブルアクセルと六級で今年はいっぱいいっぱいだと思う言われてしまう。
その理由を司はいのりに説明した。
ベースアップの方法は二つ。
一つは練習量を増やす事、だが練習量をこれ以上増やすとまたシンスプリント(脛骨(けいこつ)の周りにある骨膜が炎症を起こすスポーツ障害)になる可能性がある。
二つ目は練習方法を変える。
しかし今までの練習方法でいのりは信じられない速さで成長してきた。
勿論それはいのりの努力の結果だが、練習方法が彼女に合ってる事も大きい。
理凰と何があったのか? 上手く行ってる今の方法を変えてまで、今年中にノービスAを狙いたいのか、一緒に考えようと司はいのりに提案する。
それを聞いたいのりは、司の事を理凰に否定された事を言いたいのを我慢して、話を自分の肉体的な成長へと変えた。
身長は4cm伸び、運動でも褒められる様になった。
出来る事が増えた、そんな自分の能力を信じたい。
そう言っていのりは陸の上でダブルアクセルを飛んだ。
感想
今回は理凰とぶつかり、三回転+二回転を成功させ、司の事を凄いと証明する事となったいのりの話から始まり、夏合宿、光という才能の前に挫折を感じていた理凰と司、バレエレッスンで姿勢の強化、六級試験等が描かれました。
その中で印象に残ったのは理凰の事でした。
彼は銀メダリストの父から指導と時間と資金、スケーターとして必要な全てを与えられた上で、光の事を知ってしまいました。
自分より後からスケートを始め、一瞬で自分を追い抜き先に行ってしまった光。
必要な全てを手にしていた事で、それらを言い訳に使えない。
自分の才能に原因を求めるより他ない状況は彼を追い詰めていた様でした。
その事でネガティブになっていた理凰でしたが、何も無い状況から努力と執念でアイスダンスのトップだった高峰のパートナーとなった司の事を知り、更にその滑りを見て理凰の中に変化が訪れました。
司はスケートとの出会いが遅く、結果は余り残せなかったのですが、それでも努力を続ける事でスケーティングに関しては夜鷹を超える物を身に付けていました。
そんな彼の姿が才能を理由に諦めていた理凰の心を動かしただろうと読んでいて思いました。
あと理凰の父、慎一郎が36歳だったのが驚きでした。(見た目と落ち着いた雰囲気で絶対五十代ぐらいだと思ってた)
まとめ
次回は全日本選手権予選が始まる模様。
どんな選手が登場するのか、いのりと司は勝てるのか、色々楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて第一話が無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。