異剣戦記ヴェルンディオ 2 裏少年サンデーコミックス
作:七尾ナナキ
出版社:小学館
異剣と呼ばれる力を持つ剣を巡る拠点防衛ファンタジー、第二巻。
砦での山賊の頭領と亜人の少女コハクの戦いはコハクの勝利で幕を閉じた。
しかし彼女と共に砦に逃げ込んだ傭兵のクレオは、山賊退治に乗り出した王国の精鋭部隊の矢を胸に受け命を落とす。
それから約百年の後、目覚めたクレオは彼を蘇生させた事で幼女となったコハクと生き延びる為、酒場を始める事にしたのだが……。
登場人物
シュラク
鬼雷の剣士と呼ばれる凄腕の戦士
黒髪に角飾りの亜人の青年。
故郷を滅ぼし彼が剣闘奴隷となる切っ掛けを作ったロマレシカ王国を憎み、復讐の為、コハクが手に入れた異剣、王鬼四剣の一つである焔を貸して欲しいとクレオに乞う。
真面目。
マキラ
メルクース商隊隊長
顔の右側に火傷の痕がある美女。
普段は鳥のマスクで顔を隠している。
旅の商人。
クレオ達を気に入り投資だと格安で物資を販売した。
アティラス・ディーカウラ
ガルド王国最初の異剣士
サフィーアの兄。
辺境の小国だったガルド王国を僅か十年余りで大国へと変えた。
豊かさを得て腐敗した貴族達に憤り、王に反旗を翻した。
傭兵隊長
浅黒い肌でスキンヘッド鼻ピアスの巨漢
土属性の異剣を操る異剣士。
合理主義者。
同胞を傷付ける兄についてゆけず、しかし兄と敵対する道も選べず居場所を失ったサフィーアを報奨金目的で執拗に狙う。
ヴェルンディオ
異剣狩りの男
クレオと同じく左の額から頬にかけて刀傷を持つ黒髪の男。
あらすじ
暗殺ギルドに狙われている鬼雷の剣士。
その強さは噂にたがわず、彼は襲って来た三つ目の仮面を付けた暗殺者達をことごとく返り討ちにした。
その後、殺気立つ剣士はコハクと一触即発の状態となるが、住処である古城を破壊される事を嫌ったクレオが止めた事で事無きを得た。
取り敢えず腹を空かせていた剣士に飯を食わせ、様子を見る事にしたクレオ。
そんな彼にコハクは剣士を仲間にしようと提案する。
相手は百人斬りの噂のある剣士だ。しかも暗殺ギルトにも狙われている。
そんな危ない奴を仲間に誘うのは危険ではないか?
そう話したクレオにコハクは噂が本当ならそうだが、違っていたら心強い味方になると返した。
現状、適正のある異剣を持たないクレオは戦力にならず、頼みはコハクの持つ魔法の力だ。
しかしコハクはクレオの蘇生で力を使い幼女になった経緯があり、余り負担は掛けたくない。
そう考えたクレオは鬼雷の剣士と話してみる事にするのだった。
感想
今回、クレオ達は故郷を滅ぼしたロマレシカ王国に復讐を誓う剣士シュラクと、兄が王に反旗を翻した事で国から逃げ出した騎士サフィーアを仲間に加えました。
また行商人のマキラ率いるメルクース商隊とも縁を結びました。
そのサフィーアがもたらした情報で異剣の力を得て大陸の制覇を狙う集団が複数いる事も分かりました。
そんなかなりきな臭い状況の中、クレオ達は古城と再建した酒場(サフィーアによって一度破壊された)を居心地よくしていきます。
今回収録されたエピソードを読んでいて印象に残ったのは、クレオのぶっきらぼうな優しさでした。
相変わらず彼は仲間内でも最弱で口ばっかなのですが、言葉の端々に命を大切に思っている事を感じさせます。
異剣、焔の力で復讐を望むシュラクに剣を渡さなかったり、逃げ出した事を恥じるサフィーアに逃げていいと言ったり……。
彼は本能的に生きていればやり直せる事を信じている様に、読んでいて感じました。
まとめ
世界は異剣によって群雄割拠の戦国時代のようですが、私的には住まいを快適にして酒場のクオリティを上げているクレオ達の方に魅力を感じます。
次巻、どんな厄介事が起きるのか、酒場や古城は無事なのか、読むのが楽しみです。
この作品は裏サンデーにて一部無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。