ひらやすみ 4 ビッグコミック
著:真造圭伍
出版社:小学館
知り合いの婆ちゃんから彼女の死後、住んでいた平屋を譲り受けた元俳優で現在はフリーター(釣り堀バイト)の生田ヒロト。
そのヒロトの家に下宿している従妹の美大生、なつみ。
二人とその周辺の暮らしを描いた作品、第四巻。
ヒロトの家の管理をしている不動産会社勤務のOL立花よもぎは、部屋を紹介した小説家の石川リョウから、本の感想が聞きたいと家に誘われ……。
登場人物
中島レイナ(なかじま れいな)
なつみが通う美大の同級生
お団子頭にピアスの女性(21)。
社交性が高く、先輩や教授とも仲のいい陽キャ。
なつみは新歓コンパの際、泥酔し置き去りにされた過去があるため、彼女も含めたイケてるグループに苦手意識を持っていた。
なつみと同じく漫画を描いている。
小林トモコ(こばやし ともこ)
なつみの母
ショートカットで丸顔の女性。
なつみの将来を心配している。
小林フミアキ(こばやし ふみあき)
なつみの父
白髪丸眼鏡で髭のおじさん。
糸目で穏やかな雰囲気の男性。
生田タクヤ(いくた たくや)
ヒロトの兄
黒髪口髭の男性。
妻子持ち。
正月はヒロトと一緒に雪の滑り台を作るのが恒例。
あらすじ
突然、部屋に誘った石川によもぎはドン引きしつつ、その後、自分の言動に気づきうろたえる石川の姿にあっけに取られ、結局、部屋に行くことを了承した。
案内された石川の部屋は、ほとんど物が無く閑散としていた。
「うちっ、ミニマリストなんです……!」
「へ――、ミニマリスト……」
引きましたか? そう尋ねる石川にそんな事はないと手を振りつつ、よもぎは物に溢れた自分の部屋を思い出し、価値観の違いを強く感じていた。
その後、部屋に上がったよもぎは自分が左右別々の靴下を履いている事に気づきうろたえる。
それを石川が差し出したスリッパで隠しつつ、二人は本の話を始めた。
石川は本の感想については饒舌であったが、それ以外は小声で聞き取りづらく、出したお茶請けのクッキーもリスのように、小さくかじった。
その齧ったクッキーの欠片がテーブルにこぼれ落ちる。
石川はこぼれた欠片を、どこからか取り出したティッシュペーパーでふき取った。
突然現れたティッシュペーパーに、よもぎは思わず飲んでいたコーヒーを吹き出す。
「どっから出てきたんスか、そのティッシュ! 手品!?」
「え!? あ、テーブルの下です」
石川の言葉によもぎがテーブルの下をのぞき込むと、ティッシュだけでなく、TVのリモコンもテーブルの天板に貼り付けられていた。
石川は生活感を出したくないという理由、あと、置く場所を決めると紛失がないとよもぎに語った。
感想
今回は小説家、石川の家にお邪魔したよもぎから始まり、連絡先を交換した石川とよもぎ、ヒロトの家でクリスマスパーティー、正月、実家に帰ったなつみとヒロト、レイナの漫画となつみの指導に悩む編集者二階堂(にかいどう)、墓参りと婆ちゃんとの思い出、壊れた給湯器とヒロトの決意、インフルエンザになったなつみの友人、あかりと差し入れ等が描かれました。
今回はその中でも、高熱で苦しむあかりになつみが差し入れをしたエピソードが印象に残りました。
彼女は大学へ通うため、実家を出てアパートで独り暮らしをしています。
体調の悪い時、一人布団の中にいると、どんどんネガティブになってしまうのは経験があります。
そんな時、助けてくれる誰かがいる事はとても心強く、安心出来る事のように思います。
作中、なつみの差し入れでなんとか、インフルエンザを乗り切ったあかり。
高熱の中、死を意識した彼女は、自分の本当にやりたい事に気づく事になります。
辛い事は生きていれば色々ありますが、意味のないことは無く、すべて繋がっているのかな。
エピソードを読んでいて、そんなことを思いました。
まとめ
給湯器が壊れ新たな給湯器のため、仕事を増やしたヒロト。
二階堂にしごかれながら、漫画を模索するなつみ。
インフルエンザの高熱の中、大きな絵を描きたいと思ったあかり。
それぞれ少しづつ変わっていく彼らの日々が今後どうなるのか。
またよもぎに好意を持った様子の石川と、彼女をクリスマスパーティーに誘ったヒロト(結果は撃沈)
よもぎはヒロトと石川、どちらを選ぶのか、そちらも気になります。
この作品はビッグコミックBROS.NETにて第一話が無料でお読みいただけます。
作者の真造圭伍さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。