宙に参る（そらにまいる） 2 torch comics
著：肋骨凹介
出版社:リイド社
フリーエンジニアの鵯ソラ（ひよどり そら）は亡くなった夫の遺骨を抱え、自ら製作した息子の宙二郎（ちゅうじろう：リンジン（アンドロイド））と共に夫の母に会う為、彼女の住む星を目指し大型宇宙船に乗り旅を続けています。
そんな彼女の持つ技術、呪文（プログラムに介入、操作できる）を警戒し警察が動き、それを手に入れたい企業も彼女に接近していました。
登場人物紹介
お母さん
育児アンドロイド？
地球滅亡論が流布された頃、宇宙施設に人類の種を積んだ「箱舟」と呼ばれる物を搭載する事が流行った。
その箱舟の一つで生まれたソラを育てたアンドロイド。
箱舟と不分解である為、機能停止した後も箱舟に残されたまま。
暮石ハトス（くれいし はとす）
ダウチテクノ技研局長、又肩（またかた）の知人
黒髪片眼鏡の青年。
ハッカー。
又肩の依頼でソラが使う呪文の情報を集める為、宇宙船に客として乗り込む。
ジスイジ・ウォン
ダウチテクノ技研局長、又肩（またかた）の知人
見た目子供なゲームプレイヤー
彼女も又肩の依頼で宇宙船に乗り込んだ。
マティック
ウォンのパートナー的ロボット
人型の半手動ロボット。
容姿はロングヘアーの女性。
タロスカップと呼ばれるマティック同士の格闘技にも使用される。
ブード・ア・プール
宇宙船居住区、ニイノ内の警察署、ニイノ分署副所長
頭部が義頭（サイボーグ）のままのおじさん。
ヨメに「ソレの方が愛嬌あるね」と言われ、再生治療を受けずそのまま使い続けている。
クイヌ・シヤ
STC（株）電波技術部、主任
黒髪ショートの眼鏡の女性。
技師として優秀な為、本社出向を命じられた。
ロックバンド「C44」の大ファン。
C44（シーチャンネル）
ボーカル、ギターのヒサス、ベースのミヤモト、ギターのティリッツア、ドラムのアリッシュからなる稀代のロックバンド。
作中では結成百周年。
メンバーは既に全員亡くなっているが、ある試みを生前に企画していた。
マヤ・ログロオ・サン
宇宙船の乗客
黒髪で浅黒い肌の少年。
船内のゲームセンターで宙二郎と知り合う。
べラック
サン家に仕えるリンジン
サン家は長年同型機を使用しているらしく、彼で12代目。
シッツ・シッツ・メア
かつて亜重力発達障害を患ったウォンの主治医
サングラス型の義眼で右腕が義手の男。
あらすじ
身柄を拘束しようとした公安のリー警部を呪文を使い撃退したソラ。
その様子をダウチテクノ技術営業のイキュに見られた事で、同技術局長、又肩はソラの呪文（技術）を本腰を入れて手に入れたがる。
その為に、送り込まれた二人、ハッカーの暮石ハトスとゲームプレイヤーのジスイジ・ウォン。
ハトスは盗撮している事がバレないよう慎重を期していたが、ウォンの方はかなり大胆にソラと接触。
ゲームで対戦し苛立ったソラを煽り、彼女に呪文を使わせる事に成功する。
感想
今回はソラの出生の秘密の他、ロックバンド「C44」が仕掛けた結成百周年企画、乗客の一人マヤと彼の世話係べラックと先代、ウォンとゲーム対決等が描かれました。
公安のリー警部や呪文を狙う又肩サイドは結構シリアス（ウォンはそうでもないけど）な感じですが、狙われているソラの方はいたって普通に乗客として旅を楽しんでいる様です。
今回も全編通してとても濃く、どのエピソードもとても面白かったのですが、印象に残ったのはやはりC44の百周年のお話でした。
エピソードに登場したクイヌが彼らを知った時、既に彼らは没後30年でした。
今後、技術が進めばVR等でライブ映像等も観れる様になり、より臨場感のある形で音楽に触れる機会も多くなるのでは無いでしょうか。
そんな生き生きと躍動するアーティストの姿を見れば、クイヌの様にまさか死んでいるとは思わず大ファンになる人もいる筈です。
そんなクイヌがファンになったC44の仕掛けた企画。
時を超え自分達がいなくなった後にファンたちに届けられたモノ……何だか切ない様な嬉しい様なそんな気持ちにさせられました。
まとめ
今回は冒頭、ソラの出自が描かれました。
個人的には亡くなったソラの夫、宇一とソラの絡みがとても好きなので今後も思い出という形で読んでみたいなぁと思いました。
こちらの作品はトーチwebにて一部無料で閲覧いただけます。
作者の肋骨凹介（あばらぼね へこすけ）さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
