凸凹(でこぼこ)のワルツ 2 BLADEコミックス
著:森野きこり
出版社:マッグガーデン
古文の女性教師、水原(みずはら)先生に料理を教える事になった料理男子の春海(はるみ)。
ただ男子生徒と教師、やましい事はしていないとはいえ、二人っきりで会っている事は事実だ。
この事は秘密にしようと話し、人の来ない旧校舎を水原先生は選んだのだが、二人が旧校舎から出て来る所を春海のクラスメイト、藤に目撃されてしまい……。
登場人物
藤(ふじ)
春海のクラスメイト
爽やかな見た目に反して猟奇的なホラーを好んでいる。
以前から春海に声を掛けてはいたが、過去のトラウマから人付き合いを避けていた春海とは、クラスメイト以上の関係にはなってはいなかった。
緒方(おがた)
藤の友人
黒髪猫目の男子。
お調子者に見せかけて現実的。
巽(たつみ)
藤の友人
短髪眼鏡で長身の男子。
余り表情には出さないが気遣いの人。
菊池琴子(きくち ことこ)
春海のクラスの女子
ツインテールの元気な女の子。
雨ヶ谷(あまがや)
春海のクラスの女子
切れ長な目のお下げな女の子。
色々聡い。
あらすじ
クラスメイトの藤に水原先生と一緒の所を見られた春海。
その事を藤に聞かれ焦った春海だったが、藤は春海が水原と噂になっている怪談を調べに行ったのだと勘違いしていた。
結局、藤の話に乗り怖い話に興味があると春海は嘘を吐いてしまう。
仲間が出来たと嬉しそうな藤に罪悪感を覚えながら、春海は彼が差し出したホラー小説を受け取ってしまった。
帰宅後、そのホラー小説を読んでみると爽やかな容姿の藤からは想像できない、かなり猟奇的な内容だった。
翌日は試験であったが、春海は結局、朝まで掛けて小説を読み、その後、急いで試験勉強をした。
そして試験当日、挨拶をして来た藤に挨拶を返し、席についた藤を見ながら春海は思う。
春海には彼から借りた小説は理解出来なかった。
しかし、藤は自分の好きだという小説を否定される事を恐れず渡してきた。
自分だったら無理だ。
……そうか、そもそも俺の方が藤君と違うのか……。
陽気な藤と比べ、春海は踏み出せない自分に落ち込んだ。
感想
今回は冒頭のクラスメイトの藤のエピソードから始まり、水原先生の動揺と風邪、クラスマッチ等が描かれました。
自分の好きな事を否定される事を恐れ、他人と関わらない様に生きて来た春海ですが、この巻では彼にも友人が出来た様でした。
今回、印象に残ったのはクラスの女子、雨ヶ谷の言葉でした。
作中、春海は水原先生に渡す筈だった弁当を藤達に見られ、グループにいた菊池から、男がご飯作るぐらい今どき普通だ、昔は変だったのかもと言われます。
やはり変なのだ、言わなければ良かったと暗い気持ちになっていました。
しかし、雨ヶ谷は人の悩みは人それぞれと菊池を窘めます。
彼女の言う様に、他人から見れば小さな事でも、本人からすれば大きな悩みであるという事は往々にしてある様に思います。
過去は人それぞれに違い、料理の事で深く傷付いた春海にとって菊池の言葉はトラウマを抉る物だった様に感じました。
ただ、今回、春海の周りにいた人々はかつての様に彼を否定する事無く、受け入れてくれた様でした。
らしくないとか根拠の無い事で否定から入ってはやっぱ駄目だな、読んでいてそう感じるエピソードでした。
まとめ
今回のラスト、春海にトラウマを植え付けた女子と彼は再開します。
その事でどんな事が起きるのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者の森野きこりさんのTwitterはこちら。
この作品はMAGCOMIにて一部無料でお読みいただけます。