ノケモノたちの夜 8 少年サンデーコミックス
著:星野真
出版社:小学館
ウィステリアの兄スノウと契約を結んだ大悪魔シトリ。
彼はスノウを自らが作り出した、全ての者がウィステリアを嫌う世界に閉じ込め彼女がマルバスとスノウ、どちらか選べばその地獄の様な精神世界から出してやるという提案を持ち掛ける。
シトリにしてみれば、どちらを選んでもウィステリアが苦しむ、負けの無い物だった。
しかしウィステリアはそのどちらも選択しなかった。
彼女はシトリの作った世界の中で、悪魔と融合した兄スノウを救う術を探し続ける事を選んでいた。
登場人物
三ツ目の悪魔
マルバス達の師匠
強い力を持ち不老不死だった模様。
大悪魔、崩国の十三災が悪魔になる前、人間であった時、彼らを弟子にしていた。
人と共に暮らす為、時の権力者の配下になったが、力の大きさからその存在を恐れられ結果、全ての弟子を失う。
弟子たちと共に生きたいという願いから、自らの力でマルバス達を悪魔として復活させた。
それと引き換えに理性を失い、現在は願いを歪め弟子たちと共に死にたいという呪いの様な存在になっている。
あらすじ
シトリはウィステリアが自分を憎む世界に耐え切れず、マルバスとスノウのどちらかをすぐに選ぶだろうと考えていた。
そもそもコレはスノウが持ち掛けた事だった。
スノウは自らの身体と心をシトリに差し出し限定解臨(契約者の身を削る事で封印された悪魔本来の力を解放する)させる、その代わりにウィステリアに自分に憑りついた悪魔を祓わせるという契約を結んでいた。
契約ではシトリ自身が直接手を下す事は出来ない事になっている。
それにしてもシトリに有利な条件だ。
ウィステリアは特別な力を持たない盲目の少女だ。
シトリが作り出した幻の世界の中では視力は回復するが、それでも悪魔を祓う力等持ってはいない。
シトリが出した結論としては、ウィステリアに悪魔を祓う事は出来ず、マルバスかスノウどちらかを選び、選ばれなかった方を失う事になる。
かつての師を忘れ、別の人間に寄り添うマルバス。
そのマルバスが守る少女、ウィステリア。
彼らに憤りを感じていたシトリは、ウィステリアが苦しむ様子を見て留飲を下げようとスノウとの取引に応じていた。
しかし、すぐに音を上げると思っていたウィステリアは、自分の記憶から作られたという世界で美化された自分の姿や知る筈の無いシトリの顔が出てきた事で、これが自分の記憶では無く、兄スノウの記憶を基に形作られたと気付く。
そして、スノウが残した手掛かりを辿り精神世界で数年かけてスノウに憑りついた悪魔の元へと辿り着いていた。
感想
少女と悪魔の旅路と戦いを描いた物語もこの巻で完結。
今回は崩国の十三災と呼ばれた悪魔が生まれた理由等、彼らの過去とダンタリオンとルーサーとの決着、自分達を生んだ師に執着するシトリの気持ち等が描かれました。
作品はこの巻で完結ですが登場しなかった他の十三災や、全ての原因である三ツ目の悪魔こと、師匠の事も読んでみたかったというのが正直な感想です。
でもまぁ、ウィステリアとマルバスは二人で過ごす穏やかな時間を望んでいた様に思うので、これで良かったのかなとも思いました。
まとめ
19世紀のイギリスを舞台にした人と悪魔の逃避行。
感想で書いた様にもう少し読んでいたかったですが、星野さんの次回作を待ちたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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