吉原プラトニック 3 モーニングKC
漫画:オキモト・シュウ
企画・原案:藤川よつ葉
出版社:講談社
生身の女性が苦手な大身旗本、大久保家の嫡男、大久保貞近(おおくぼ さだちか)。
浮世絵に執心する彼は結婚を間近に控えており、跡継ぎの事に不安を感じた父親は貞近に吉原に通うよう命じる。
その吉原で筆おろしを託された花魁、紫太夫と料理を通じて貞近は距離を縮めるが……。
登場人物
榊伝四郎(さかき でんしろう)
大久保家家老
白髪髭の太っちょおじさん。
浮世絵に傾倒し、現実の女に興味のなさそうな貞近の様子にお家存続の危機感を覚える。
蔦屋(つたや)
浮世絵の版元、耕書堂の主
吉原名物「甘露梅」の販売に浮世絵の広告を企画するが、幕府の倹約令のあおりを受け、有名絵師が捕縛。
浮世絵による大々的な宣伝を断念するが……。
あらすじ
吉原に通い紫太夫との距離は縮まったものの、未だ事を成せず、相変わらず浮世絵を愛でている貞近。
そんな貞近に家老の榊はお家存続の危機感を覚える。
婚姻しても世継ぎが出来ねばお家断絶。
それは大久保家に仕える家臣の進退に関わる重大事だ。
そこで貞近の父は榊を通じてある事を言い渡す。
佐吉の放免。
貞近の父は彼が事を成就できず、未だ童貞なのは料理人の佐吉が貞近を甘やかしている事が原因だと考えたのだ。
佐吉を哀れと思うのなら、早々に事を成し男になれ。
榊から父の言葉を伝えられ、吉原へと送り出された貞近は子供の頃から良くしてくれた佐吉を思いつつ、自身が浮世絵で描かれた秘め事を行う事に気後れを感じるのだった。
感想
今回は吉原に通い続けて数か月、未だに事を成せない貞近に突き付けられた佐吉の馘(くび)のエピソードから始まり、二股疑惑、甘露梅と浮世絵師、佐吉の放免と引きこもり、しょくらとを(チョコレート)と貞近の覚悟等が描かれました。
その中でも今回は佐吉の放逐と家の存続についてが印象に残りました。
江戸時代、武家は跡継ぎがいなければ家は断絶。
職も召上げられ家臣一同、路頭に迷う事になります。
なので過去に読んだり観たりした作品では、親戚から養子をもらったり、婿を迎え入れたりして世継ぎの確保をしていました。
そんな事情なので、性に奥手な貞近に父や家老の榊が不安を覚えるのも無理のない事なのかもしれません。
ただ、そのために佐吉を解雇するのは、ちょっと可哀そうだなぁと感じました。
佐吉はナイーブな貞近に優しく接していただけで、浮世絵好きを加速させたわけでもありません。
作中、貞近に別れを告げる事もなく屋敷から消えた佐吉。
彼が大久保家で再び働く事があるのか。
次巻が気になります。
まとめ
浮世絵好きのオタク侍と吉原の花魁の食を通したふれあいを描いた本作も次巻で完結。
感想で書いた佐吉の件も含め、作品がどんなエンディングを迎えるのか。
続きが楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。