えびがわ町の妖怪カフェ 5 ヤングアニマルコミックス
著:上田信舟
出版社:白泉社
様々な経験をしながら過ごす夏の日々。
まなにとって初めての事ばかりだったその夏休みの日々も、残り少なくなり、まな自身、もうすぐ東京へ帰るのだと思い始めます。
登場人物
文車妖妃(ふぐるまようひ)
古い恋文に宿った想いが形をもった妖
作中では祖母の家の手文庫に憑りついている。
眼鏡文学和装美女……色々盛り過ぎの気がする。でも好き。
陽葵(ひなた)
咲の知り合いの狐
狐の一族のちっちゃい狐耳娘。
狐の嫁入りとかする妖狐の一族じゃないかなぁ?
あらすじ
夏バテで体調を崩したという祖母の為に、まなは佐吉とかぼちゃの冷製スープを作り見舞いに出かけた。
佐吉は昼の準備をする間遊んで来なさいとまなに告げる。
まなは祖母の家に棲む座敷童のうめこと遊びながら、祖母の家の中を巡る。
渡り廊下の先、蔵の扉の中からこちらを招く手が見えた。
まなはうめこと一緒に、蔵の中を覗いた。
其処には古めかしい書を読む、眼鏡を掛けた女がいた。
彼女は文車妖妃と名乗り、自らの出自をまな達に説明した。
それによると、もとは文に残った想いから生まれたのだが、共にあった手紙等を読むうちにスッカリそれにハマってしまったらしい。
ちなみに今はSFにハマっているようだ。
彼女はまなに文字、手紙や本の持つ魅力、人の思いや考えた事が詰まっている事や手紙を書く事で得られるモノを二人に教えた。
彼女と別れ、昼食に呼ばれたまなは、祖母が自分の作ったスープを飲み美味しいと言ってくれた事が嬉しかった。
さらに、佐吉が作ったのはまなだと伝えると、祖母は彼女にありがとうと笑みを浮かべた。
その事をとても嬉しく感じたまなは、その後も祖母が佐吉の作った食事を美味しそうに食べているのを見ながら、不意に気付く。
手紙も料理も同じだ。
どちらも相手を思い、心を込めて書き作る。
そして、それが伝わればとてもうれしい。
それを聞いた祖母が何気なく呟いた言葉。
「こりゃお迎えがくるまで、もうちょっとがんばらなあかんねぇ」
それを聞いたまなは、祖母はそんなに悪いのかと不安を感じる。
たとえだと祖母が笑みを浮かべたので、まなは胸をなでおろした。
しかし、その事はまなに人はいつか死ぬのだという事を強く感じさせたようだった。
感想
今回はあらすじで書いたお話の他、妖怪たちの夏祭り、終わらない夏休み、母の訪れ等が描かれました。
終わらない夏休みのお話は、誰もが一度は思った事のあるだろう、楽しい時が終わらなければいいのにという願いに基いたお話でした。
しかし、どんなに楽しくても同じ日が永遠にループする日々というのは苦しみしか生まない気がします。
悲しい事が終わる為に、楽しい事も終わるのだとスナドリネコさんは言いました。(©ぼのぼの)
どんなに辛い事も時間の流れが押し流し、やがて薄れてゆくから人は生きていけるような気がします。
まとめ
終盤、まなが佐吉の家で暮らす原因となった母親も登場し、物語はフィナーレに向けて進み始めました。
次巻では、まなと母、そして佐吉の事に決着がつきます。
この作品は白泉社公式サイトにて無料で試し読みが可能です。
作者の上田信舟さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。