ダンジョン飯 5 ハルタコミックス
作:久井諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
レッドドラゴンを倒し、マルシルの魔術によりファリンを蘇生させたライオスたち、ファリンの生還を喜びレッドドラゴンの肉で祝杯を上げる一行。
しかし狂乱の魔術師の襲来により再びファリンと引き離されてしまう。
迷宮に飲み込まれ壁に潰されるまいと逃げ込んだ穴の先は城下町の一室だった。
その部屋でゴーストに囲まれた彼らの命運は……。
第30話 良薬
あらすじ
ゴーストに囲まれた一行だったが彼らは何かを呟くと消えてしまった。
周辺を調査しようと、ドアをあけたチルチャックはオーク達と鉢合わせしてしまう。
取り押さえられた一行だったが、オークとも付き合いのあったセンシの説明により事無きを得た。
ドラゴンの件について、オークと協力関係と分かった隊を率いていたゾン族長の妹は、ライオスたちのために調合薬を用意する。
彼女は出来上がった調合薬を気を失っていたライオスに口移しで飲ませた。
激しく痙攣するライオス、そのさまを見てマルシルは拒絶するが、隊長は有無を言わせず彼女の口に薬を流し込んだ。
その後、隊長との会話で襲ってきたエルフの魔術師が迷宮の支配者、狂乱の魔術師だとチルチャックは知る。
魔術師は使役している魔物を殺した者を許さないようだ。
ライオスとマルシルが目を覚ませばファリンを探そうとするだろう。
これ以上進めば確実に殺される。
チルチャックは巻き添えになって死ぬのはごめんだと、二人を欺いてでも地上に帰るべきだと主張する。
チルチャックは隊長に荷物の回収のため、案内を頼むが腐った根性の匂いがうつりそうという理由で拒絶されてしまう。
その後、センシの執り成しでなんとか案内を了承してもらい、彼女の案内で荷物の回収に向かう事となった。
道中、チルチャックは隊長とこれまでの事を話す。
竜の燃料袋に引火した時、咄嗟にファリンが防御魔法で守ってくれたこと。
レッドドラゴンをチルチャックとセンシで引きつけ、ライオスが懐に飛び込み急所を突いたこと。
ファリンもライオスも一歩間違えば死んでいた。
こんな判断をする奴がこの先どうなるのか。
チルチャックは意地を張らず、ナマリ達がパーティを抜けた時に一緒に抜ければ良かったと隊長に話した。
彼女はそれで仲間を失っても良かったのかと怒りを見せた。
それに対してチルチャックは、自分がついていくと言った所為でライオスも後に引けなくなったのではと語る。
その後、治療を行い部屋で竜の肉を食べたことを隊長に話した。
魔術師に襲われた時はマルシルが攻撃を凌いでくれた。
そのことを聞いた隊長は、あんな間抜けそうな顔をしていたのにと驚いた様子だった。
チルチャックは、実際間抜けだと続ける。
禁忌とされている魔術まで使って、迷宮から出てもまともな人生が送れるとは思えないと話した。
どいつもこいつもアホでバカで大間抜けだ。
無理をすれば報われると思い込んでいる。
そんな奴らまとも説得できないというチルチャックに、だから騙すのか、もっといいやり方があると隊長は言う。
それにチルチャックは嘘を吐くぐらいで帰れるなら上等だ。
俺は自分の命が一番大事だと声を荒げた。
隊長はそうではないだろうと言葉を続けた。
「素直に死なせたくないと言えばいいのに。」
その言葉で、チルチャックは自分でも気づいていなかった自分の気持ちに気付かされた気がした。
荷物を回収し部屋に戻るとライオスが意識を取り戻していた。
すぐさまファリン救出に向かおうとするライオスを押しとどめ、チルチャックは話を切り出す。
彼は探索はこれ以上無理だと切り出し、建前を取り払い本音を語った。
仲間を失いたくない事を熱く語りライオスを説得した。
センシは食材を補充しファリンに美味いものを食わせたいと話し、隊長も準備をして戻ってくればオークも協力すると約束してくれた。
三人の言葉をうけて、ライオスはこのまま進むのではなく、一旦、帰還することを了承した。
感想
帰還を決めたライオスたちでしたが、迷宮はなかなかそれを許してはくれないようです。
カブルーやシュロー達のパーティも登場しお話は更に賑やかになってきました。
ライオスが治癒魔法を学ぶという事は彼はウィザードリィにおけるロードの様な形になるのでしょうか。
ケン助の存在感があり過ぎるので、難しいでしょうがカシナートの剣の様な強力な武器等も登場して欲しいです。
今回は
「学校はじまって以来の才女、マルシル!!」(ナパーム爆破)
が良かったです。
その後彼女は、野菜を貼られたり、漬物石にされたりと散々でしたが……。