ダンジョン飯 4 ハルタコミックス
作:久井諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
ナマリ達に助けられ、苦戦を強いられたウンディーネもシチューにして腹に収めた一行。
カエルスーツにより、テンタクルスの繁茂する階段を抜け、ようやく地下五階、レッドドラゴンがいるとされる城下町エリアにたどり着いた。
あとはレッドドラゴンを倒し、ファリンを救い出すだけだ。
第23話 炎竜1
あらすじ
城下町はそこかしこに賑やかだった頃の面影が感じられた。
オークの集落には小麦粉や酒などが残されていた。
レッドドラゴンに襲われ慌てて逃げ出したのだろう。
集落の外の通りには魔狼(ワーグ)の焼死体が転がっていた。
ドラゴンに焼き殺されたと思われる。
目的のドラゴンはこの辺りをうろついているようだ。
眠っているドラゴンなら今の面子でも対処できたが、起きて動き回っているのなら正攻法で勝つことは難しい。
ライオスたちは作戦を練ることにした。
ドラゴンの鱗には剣も魔法も効きにくい。
唯一致命傷を与えられるとすれば首の下、逆鱗を狙うしかない。
ドラゴンの頭の高さは十メートルを超えるだろう。
直接逆鱗を狙う事は難しそうだ。
ライオスたちは竜が頭をぶつけたであろう渡り廊下を見てみた。
かなりの高さだ。
ここから飛び移れば頭には届くだろうが失敗すれば無傷ではいられまい。
それに火の息の対策もファリンがいない現状では困難だ。
ライオスやセンシの武器がドラゴンに通用するかという問題もある。
悩みながらライオスはドラゴンに崩された廊下に目をやる。
「竜を狙うのではなく、建物を爆破するのはどうだろう」
城下町には建物を繋ぐ渡り廊下が至る所にある。
竜が真下を通った時に廊下を破壊すれば、瓦礫で動きを止められるかもしれない。
ライオスたちが囮になり逃げ回れば、竜を疲弊させながらおびき寄せる事も出来そうだ。
更にチルチャックがセンシの鍋が特別性だとナマリが言っていたことを思い出す。
光が見えてきた一行は竜から逃げるルートを確認するため、城下町のマッピングを始めた。
拠点に戻るとマッピング中にいなくなったセンシが、パンを焼いていた。
大仕事の前には腹ごしらえが必要とセンシは調理を始めた。
以前は空腹でレッドドラゴンに敗北した。
同じ轍は踏まない。
パンをおろし金で細かくし大蛙の肉にまぶし油で揚げる。
メニューは縁起を担いでカツレツだった。
食事の途中、ライオスが三人に感謝の言葉をかける。
仲間の結束が固まる良い場面だろうが、全員カツレツを頬張っていたのでしまりが悪い。
その時、床に置いていた皿が小刻みにゆれたかと思うと振動が四人を襲った。
竜が戻って来たようだ。まだこちらに気付いた様子はない。
勝てるのか不安を口にするマルシルの肩にライオスは手を置いて言う。
「大丈夫、この四人でここまで来たんだ。」
準備は整っている。体調も万全だ。
いよいよレッドドラゴンとの戦いが始まった。
感想
今回はほぼ全編、ドラゴン編です。
旅の目的だったドラゴンとの戦いは熾烈を極めます。
逃げ回りながら戦い、臨機応変に対応する彼らの戦法はPCゲームというより、テーブルトークRPGを感じさせます。
D&Dやソードワールドでは低レベルでドラゴンに遭遇し戦闘になれば、待っているのは死だけでしょう。
やはりファンタジーにおいてドラゴンは最強であって欲しいと感じます。