お役に立つので血をください 1 ヤングジャンプコミックス
著:十五夜
出版社:集英社
仕事に疲れた男、八雲錬(やくも れん)はある雨の夜、橋の下で行き倒れている少女を拾う。
その少女、スミレは人間ではなく、人の生き血を啜る吸血鬼だった。
登場人物
スミレ
人間界で行き倒れていた吸血鬼
ピンク色の髪で頭と腰から蝙蝠の羽、お尻には尻尾を持つ少女。
吸血鬼としては落ちこぼれらしく、吸血鬼の世界に帰れず行き倒れていた。
八雲錬(やくも れん)
黒髪眼鏡で体の大きな青年
仕事が忙しいらしくお疲れぎみ。
帰る場所がないというスミレを保護する。
八雲実(やくも みのり)
錬の姉
黒髪ロングで眼鏡の巨乳。
錬と一緒にいたスミレに家出少女ではないかと危機感を抱く。
ダリア
吸血鬼の女性
笑顔がデフォルトの大剣を担いだ女吸血鬼。
錬と暮らすスミレを秩序を乱すと吸血鬼界に連れ帰ろうとする。
キキョウ
吸血鬼の女性
ショートカットでジト目黒マスクの女吸血鬼。
ダリアと共にスミレを吸血鬼界に連れ帰ろうとするが……。
トネリコ
吸血鬼の教育機関、アカデミーの校長
とんがり帽子で白髪髭の鷲鼻の老人。
吸血鬼の派閥、保守派、救済派、革命派のどれにも寄らず、中立的な立場を取ってきたが、スミレの件では救済派に歩み寄る。
ミモザ
技術開発担当の女吸血鬼
ツインテールの小柄な女性。
全ての吸血鬼を救おうと考える救済派のリーダー。
ヘルオーク
スミレの元教育担当
顔にあざのある吸血鬼の男。
優秀な者以外は切り捨て、人間と吸血鬼の関係を強化しようと考える保守派。
ラズベリー
スミレの元同級生
ショートカットで黒バニーな衣装の女吸血鬼。
落ちこぼれのスミレをいじめていた。
ロースト
ヘルオークの教え子の一人で優等生
黒スーツで身を包んだ吸血鬼の青年。
ラズベリーと行動を共にするが、彼には何か考えがあるようで……。
あらすじ
ある雨の日、サラリーマンの八雲錬は薄暗い橋の下で一人の少女と出会う。
行き倒れ泣きながら血をくださいと懇願する少女に、錬は思わず右腕を差し出した。
血を飲み少し元気になったその少女スミレは、恩返しをさせて欲しいと土下座。
雨の中、放っておくわけにもいかず、錬は自宅へと連れ帰る。
スミレは血流改善のためのマッサージを申し出るが、体の大きな錬には小柄な彼女の腕力では通じず、結果、背中を踏むという子供的なものになってしまった。
また、ご飯を作ろうとするも火加減の調節を誤り、黒焦げの料理を作る始末。
まともに恩返しができないと泣くスミレに、錬は行き倒れていた理由を尋ねた。
それによれば、吸血鬼の世界はルールが厳しく、スミレのような落ちこぼれはまともに血が吸えないらしい。
居場所がなく、人間の世界に来たがそれで血が吸えるわけでもなく……。
「生きるのって、なんでこんなにツラいんですかね?」
そう言って涙を溜めて笑ったスミレの言葉に、錬は大変なのは人間も吸血鬼も変わらんねとポリポリと頭を掻いた。
続けて帰る場所がないなら、しばらくここにいるかい?と問いかける。
「いいんですか!?」
「悪い子じゃなさそうだし、俺も一人で寂しかったところさ」
その後、喜び錬の背中にしがみつきはしゃぐスミレを、彼は風呂に入れてやった。
風呂はとても温かく、嬉しさと安堵からスミレはポロポロと涙を流した。
感想
仕事でお疲れぎみの巨漢サラリーマンと、ポンコツだけど素直で可愛い吸血鬼の少女の日々を描いたファンタジーコメディ。
スミレは元気一杯で一生懸命。
雰囲気的には主人に甘えるワンコっぽく、読んでいて自然と笑顔になりました。
一方で作中、描かれた吸血鬼の世界は救済派のような派閥はあるものの、基本能力第一主義で弱者は切り捨てられる社会。
弱い者は野垂れ死に、強いものだけが生き残る。
それは作中、ミモザが言っていたように先細るしかない世界のように感じました。
そんな吸血鬼の世界は自己責任を求められる現在の日本を思わせ……。弱者を見捨てるのではなく、手を差し伸べる余裕ある社会。
そうなって欲しいとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
この巻の終盤、スミレは彼女を虐めていた吸血鬼、ラズベリーと戦う事になります。
戦いの行方がどうなるのか。
今後、ラズベリー達がスミレとどう絡むのか。
今後の展開が楽しみです。
この作品はとなりのヤングジャンプにて一部無料で閲覧可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。