コーヒームーン 3
著:牡丹もちと
出版社:KADOKAWA
同じ日を繰り返す仲間、駄苗(ダナエ)とキアロ。
二人はループから抜けリセットされる様になってしまいました。
平気な振りをして再び二人と関係を築こうとするピエタですが、寂しさから泣き崩れます。
そんなピエタの前に現れた彼女と同じ顔をした少女。
少女はピエタに一番幸せな誕生日をくり返し送らせる事で、絶望から目を背けさせていました。
ピエタの代わりにその絶望を引き受けてくれていた少女。
ピエタは彼女手を差し出しに言います。
「幸せな明日のみんなの笑った顔、私と一緒に見に行こう…!!」
登場人物
べニアニーチェ・チェッリーニ(べニア)
巻き髪ロングの少女
ピエタの学友ニケの父であり彫刻家のルドヴィーゴ・ブオナローティと因縁のある彫刻家ベンヴェヌート・チェッリーニの娘。
ルドヴィーゴとベンヴェヌートはライバルであり、べニアもルドヴィーゴの娘ニケにライバル心を持つ。
彫刻展においてニケに敗れ、彼女に対し嫉妬の炎を燃やす。
あらすじ
あくまで一番幸せな誕生日を否定し、明日を望んだピエタに少女は激高し、代わりに自分が幸せな誕生日を完成させるとピエタに対し抗出来を始めた。
少女の言葉と同時に降り続く雨はピエタを黒く染め始める。
その黒く染まった部分は痺れていく。
それでもピエタは諦める事無く、風に飛ばされたキアロの傘、駄苗のカッパで雨を防ぎつつ、雨宿り出来る場所を探しビルに駆け込む。
そのビルの中、黒い水に追われながらピエタは上を目指し階段を上り続ける。
そして辿り着いた部屋。
そこには幼いピエタと母親、そしてベッドで息絶えようとしている父の姿があった。
その時は理解出来なかった不幸、それが理解出来る年になって、コウと不幸、幸せが相対的だという呪いが花開き、彼女に一番幸せな日々を繰り返させていたのだ。
そう語る影を横目にピエタ追いすがる水から逃げる為、ひたすら階段を上りいつか駄苗と遊んだ屋上遊園へ辿り着いた。
屋上の端。黒い水で埋まる街をピエタは見下ろす。
そんな彼女の後ろに立ち、影の少女は囁く。
自分と一緒にまた同じ日々を過ごそうと。
「いやだ」
「?」
「い―――!や―――!!だ―――!!!」
叫びを上げたピエタは泣きながら少女に抱き着き、自分の分身である彼女を大切な友達だと受け入れた。
感想
同じ一日を過ごしていた少女ピエタ。
その現象はピエタ自身が無意識に考えていた、幸せの総量は相対的であるという呪いから始まっていた様でした。
父親の死という不幸と相対する様に、最高に幸せな誕生日が存在する。
それを理解した誕生日に、幸せに対する不幸、明日は今日よりも不幸だという絶望から逃れる為に同じ日を繰り返す。
上手く説明出来ませんが大きな幸せを得れば、未来には同じだけの不幸が存在するという事だとピエタは感じていたのでは無いでしょうか。
それを回避する為に、自分の分身、作中では自錬魔(じれんま)と呼ばれる存在が力を使いループを生み出していた様です。
今回、ピエタはその自錬魔を受け入れ、新たな一日をスタートさせ、ループしていた日々が終わり彼女の時間は今回進み始めました。
絶望と希望を未来に求めたピエタは、物語冒頭よりもとても強くしなやかになっている様に読んでいて感じました。
まとめ
この巻の後半では次の一日に進んだピエタの前に別の問題が現れ、それを解決すべく彼女は新たな目標を打ち立てます。
少女たちの力の根源である自錬魔、それを生み出しているモノとは……。
次回も楽しみです。
こちらの作品はComicWalkerにて一部無料でお読みいただけます。
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お読みいただき、ありがとうございました。