推しの子 5 ヤングジャンプコミックス
著:赤坂アカ×横槍メンゴ
出版社:集英社
大人気漫画「東京ブレイド」の舞台化。
母であり前世で大ファンだったアイの過去を知るプロデューサー、鏑木の手回しでアイとも関係のあった劇団「ララライ」の役者も参加するその舞台に出演する事になったアクア、かな、あかねの三人。
舞台と言う事で原作とキャラクター等に若干のブレはあるものの、稽古は続けられていたのだが……。
登場人物
金田一敏郎(きんだいち としろう)
劇団「ララライ」代表
黒髪髯のイケオジ。
舞台「東京ブレイド」の演出を担当する。
GOA(ゴア)
売れっ子脚本家
涙ボクロの温厚そうなイケメン。
作品を読み込み、その上で舞台としての完成度を高める本を書く。
鴨志田朔夜(かもしだ さくや)
2.5次元俳優
プリン髪のイケメン。
姫川大輝(ひめかわ たいき)
劇団ララライ看板役者
黒髪眼鏡で無精ひげの陰気な雰囲気の青年。
演劇馬鹿。
鮫島アビ子
漫画「東京ブレイド」の作者
黒髪くせ毛の陰キャな漫画家。
東京ブレイドの大ヒットを受け、仕事が忙しくなった事でストレスを抱えている。
あらすじ
稽古の始まった「東京ブレイド」の舞台。
これまで周りに合わせて、力を発揮できていなかったかなは、主役であり役者としての力量も高い姫川大輝と張り合う事で、本来の輝きを放ち始める。
一方で役になり切るタイプのあかねは、鞘姫という役の性格が舞台の脚本と原作で180度違う事に違和感を感じながらも、原作者の先生がOKを出したならと戸惑いつつも稽古に望んでいた。
そんな中、稽古場に原作者である漫画家の鮫島アビ子が現れる。
彼女は役者たちの演技の上手さに興奮しながらも、総合責任者の雷田(らいだ)に脚本全ての直しを要求した。
彼女はキャラクターの言動に憤りを覚えていた。
脚本を担当したGOAは原作も読み、その上で舞台にあったモノを書いたと言うが、鮫島は自分の生み出した子達はこんなに馬鹿じゃないと怒りをあらわにする。
修正箇所を教えて頂ければ……。
そう言ったGOAにだから全部と鮫島は取り付く島もない。
彼女は修正を伝えていたがそれが全く反映されない事で苛立ちを抱えており、それが一気に爆発したようでGOAに向かい原作を読んでこれなら創作者のセンスが……と彼の脚本家としての才能までも否定した。
感想
今回はこの作品における主要メンバーであるアクア、かな、あかねの三人が参加する漫画原作の舞台稽古の様子がメインで描かれました。
今回のテーマは小説、漫画等、原作から別メディアに移る際に起こるテイストの変化だったように思います。
今回書いたあらすじだけ読むと、アビ子がかなり我儘に思えますが、彼女は作中、再三、キャラクターへの修正を入れていた様です。
それが反映されなかったのは、間に何人も人が入る事によって伝達に齟齬が生まれていたからでした。
アマチュアとはいえ小説らしき物を書いている身としては、アビ子の気持ちもよく分かります。
もし、自分の作品が別の形で作られた際、キャラクターの性格がまるっきり変わっていたら……。
今回の様に舞台という形で表現する為、必要な事であっても、内気で気弱な女の子がイケイケになっていたらそれはもう別の作品ではないでしょうか。
それによって元々表現したい事、伝えたい事も歪む筈です。
そんな形で発表された物に自分の名前がクレジットされていたら、消してくれと思いたくなるのも分かる気がします。
一方で脚本家のGOAの主張も真っ当に思えました。
漫画とは違い舞台は上演時間という物があり、それに合わせ本は書かれる為、様々な制限が課せられます。
その中で表現する為には必要以上にオーバーな表現や、進行上変えなければならない部分も出て来る筈です。
この巻の終盤ではアビ子とGOAはウェブ会議でやり取りしながら脚本について詰めていく事になります。
やっぱ、間にワンクッション(作中では間に五人)おくと伝わる物も伝わんないなぁと今回のエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
舞台はアニメや映画と違い再現できる物にも限界があり、色々変更点があるのは仕方ない事かなとも思います。
ただ、一マンガ好き、小説好きとしては、作品の設定を使用したオリジナルシナリオであってもキャラクターの性格は変えて欲しくないなぁと思います。
あのキャラは絶対こんな事言わない等、やっぱり感じちゃうと思うので……。
この作品はとなりのヤングジャンプにて一部無料で閲覧可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。