暁の犬 1 SPコミックス
漫画:高瀬理恵
原作:鳥羽亮
時代考証:山田順子
出版社:リイド社
「公家侍秘録」や「江戸の検屍官」等、多数の時代作品を描いた高瀬理恵さんの最新作。
原作は鳥羽亮さんの『必殺剣「二胴」』(祥伝社文庫)です。
主要登場人物
小野寺佐内(おのでら さない)
富田(とだ)流居合術指南道場の道場主
裏家業で刺客を生業としている。
見た目は細身の美青年
幼名は尚太郎(なおたろう)。
小野寺友右衛門(おのでら ともえもん)
佐内の父親
病床の妻の薬代の為、剣の腕を活かし刺客を請け負っていた。
富田流居合の達人で“首斬り友右衛門”の異名をもつ。
何者かに腹を斬られ死亡した。
おしま
佐内の乳母的な存在
体の弱かった佐内の母に変わり、幼い佐内の面倒を見ていた。
現在も嫁のいない佐内の身の周りの世話をしている。
益子屋新蔵(ますこや しんぞう)
口入れ屋
佐内に刺客の仕事を斡旋している。
佐内に父の死と関係するであろう仕事を依頼する。
亀吉
口入れ屋益子屋新蔵の使う間者
本職は鳶、二つ名は蔓鳶。
佐内に協力し標的の動きをさぐる。
水野忠邦(みずの ただくに)
唐津藩主
幕府老中首座の地位を得る為、国替えを画策する。
二本松大炊(にほんまつ おおい)
唐津家城代家老
先代藩主の代までは城代として権勢を振るったが、藩主が忠邦になってからは主権を取り戻され対立している。
その対立が激化した事で、双方が互いの陣営の腕利きの人間を暗殺し合う状態となっている。
佐内の父の死も水野と二本松の権力争いに端を発しているようだ。
相良曜三(さがら ようぞう)
水野家徒目付
藩主水野忠邦についた江戸家老、拝郷源左衛門(はいごう げんざえもん)の部下。
佐内に拝郷の依頼を伝える。
衆道の気がある。
大道寺舎人(だいどうじ とねり)
唐津藩江戸次席家老
城代である二本松についた。
稲垣兵衛(いながき ひょうえ)
先手組物頭
一刀無双流の使い手、標的の一人。
大道寺の一派。
高島左近(たかしま さこん)
長柄組
一刀無双流の使い手、標的の一人
大道寺の一派。
鳥居新二郎(とりい しんじろう)
馬廻役
一刀無双流の使い手、標的の一人
大道寺の一派。
根岸大隅(ねぎし おおすみ)
益子屋が依頼する刺客の一人
生活費の為、佐内に三人の標的の内、二人を譲ってくれるよう頼む。
念流の使い手。
無精ひげでガタイの良い中年のおじさん。
あらすじ
父の後を引き継ぎ剣術道場を営む佐内は、その傍ら同様に引き継いだ刺客の仕事も行っていた。
唐津水野家に仕える萩原左馬之助を依頼により斬った佐内は、その翌日口入れ屋の益子屋に呼び出される。
呼び出された料理屋で益子屋は、いつもは話さない依頼人の素性を語り始める。
訝る佐内に益子屋はその依頼人が斬られた事を伝えた。
依頼人の内藤は佐内の父と同じく、胴を一太刀で断たれ死んでいた。
感想
水野家、家中の権力争いが発端で死んだ父親。
その父を殺した相手を探し、佐内は刺客として動き始めます。
主人公、佐内が居合で一度も勝てなかった父を殺した剣客とは誰か。
父の亡骸から感じた恐怖を乗り越えようと、佐内はその剣客と相まみえようと奔走します。
その一方で父が勝てなかった相手の強さに怯えてもいます。
江戸時代の武家や町人の暮らしの裏で起きる血生臭い権力争い。
暗殺で牽制し合う様は冷戦という言葉を思い出します。
まとめ
高瀬理恵さんの作品は「公家侍秘録」「表具屋夫婦事件帖」「江戸の検屍官」等を読みましたが、どの作品も知らない事が多くとても興味深い物でした。
今作も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はコミックボーダーにて一部、無料でお読みいただけます。
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