おとなりの天涯 1 電撃コミックスNEXT
著:きぃやん
出版社:KADOKAWA
やる気の出ない仕事をこなし、家と会社の往復だけの毎日を過ごしていたOLの土屋ルノ。
何処か別の場所へ行きたい、そう思いながらも会社を辞める勇気も出ない彼女がその日、家に帰るとバスルームの扉が見知らぬ洞窟へと繋がっていて……。
登場人物
土屋ルノ
仕事に疲れたOL
ショートカットの女性。
雑用ばかりの仕事にやりがいを見出せず、言われた仕事をこなし家と会社を往復する日々を送っていた。
お酒は余り強くない。
コイチ
バスルームの扉から繋がった「タカラハラ」と呼ばれる別世界に住む少女。
ロングヘアーで和服に似た服を着た幼い女の子。
タカラハラでは姫と呼ばれている。
あらすじ
仕事に疲れたOLの土屋ルノ。
その日、残業を終えた彼女は缶酎ハイ一本でしたたかに酔っぱらい、会社の愚痴をこぼしつつ帰宅中、ふらつき転び夜空を見上げながら思わず「どっか行っちゃいたいなぁ……」と呟く。
その後、何とか帰宅したルノはシャワーを浴びようとバスルームの扉を開ける。
するとそこには壁に木が生えた薄暗い洞窟が広がっていた。
理解出来ない出来事に、一旦は落ち着こうとしたルノだったがやはり現象を許容出来ず廊下に尻もちを突き叫び声を上げてしまう。
そんなルノに語り掛ける者がいた。
「誰じゃ?」
視線を向ければその言葉遣いには似つかわしくない、髪の長い和服の様な物を来た少女がルノをじっと見つめていた。
彼女はルノに期待を込めた目を向けながら「そちも迷ったんか!?」と問い掛ける。
少女はルノから酒の匂いを感じ取り「ぬしも酒呑みかえ?」と目を輝かせる。
こんな所で友が出来るとは、嬉しそうに次々と言葉を紡ぐ少女だったが、限界を超えたルノは少女の目の前で倒れそのまま意識を失った。
感想
色々疲れたOLが異界の姫に導かれ「タカラハラ」と呼ばれる神話の様な幻想的な世界に赴き、そこで現世の疲れを癒されるといった内容の作品です。
OLのルノは嫌味で指導も教育もしない上司から、やる気が無く使えない奴とレッテルを張られ、仕事に対する意欲を無くしていました。
ですが作中、異界の姫コイチと共に不思議な世界、タカラハラを案内されコイチを始めそこで生きる人々に触れる内、自分も頑張ろうとやる気を取り戻していきます。
作品を読んでいて感じたのは、人を肯定する事の大切さでした。
コイチは基本、人の行いや言動を否定して責めたりはしません。
彼女のそういった部分が、日ごろ上司から辛く当たられているルノの心を柔らかくした様に感じました。
人は誰しもミスをします。それを責めるのでは生産性は上がらない様に思いますし、責められた人も委縮するのでは無いでしょうか。
責めるのでは無く、ミスが起きてもリカバー出来る仕組み作りが大事であるし、そうなれば恐れる事無くもう一度やってみようと作中のルノの様に思えるのではないかな。
この巻を読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
異界と現世を行き来して物語は描かれ、その過程でルノの気持ちも少しずつ変わっていきます。
次回はどんなことが起きるのか、読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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