カイニスの金の鳥 4
著:秦和生
出版社:イーストプレス
アランがリアである事をマイルズに知られたリア。
好きだとマイルズから告白されたアラン(リア)は、女性である事で認められなかった過去からマイルズと今までの友情が何だったのかと悩みます。
その後、二人はお互いの認識をすり合わせ、アランはマイルズが自分を女性としてでは無くリアも含めたアラン・ウエッジウッドという個人として認め、その上で友情と愛情を抱いていると知ります。
登場人物
ロイ・クーパー
人気作家カール・ダンヒルの家の庭師
黒髪の青年。
庭師であるがカールの家は彼が管理している。
カールとは恋人関係。
あらすじ
アラン(リア)とマイルズが仲直りしていた頃、ロンドンに出て来ていたマイルズの弟テオは、作家のカール・ダンヒルに賭博場でカモにされていた。
有り金全てを巻き上げられたテオだったが、カールの庭師ロイの介入で事無きを得る。
その後、成り行きでカールの家に泊めてもらう事となった。
ただ、常に面白い事を探しているカールがテオを放って置く訳もなく、カールはテオとマイルズの関係に気付きアランとマイルズを夕食へと招待する。
そして夜、アランとマイルズがカールの家を訪れると、テオはマイルズに会う事を嫌がり家の何処かへ隠れてしまっていた。
そんなテオをマイルズとカールが探す間、アランは庭師のロイから二人の過去を聞く。
他人に興味の持てなかったカールが叔母の家に預けられ、そこでロイと出会いやがて叔母が死に居場所の無くなった二人はロンドンに出て来た事。
最初はカールがギャンブルで稼いでいたが、ロイが危ないので止めてくれと願い、なら地底人の観察記録を書いて売ると作家になった事。
ロイは最後に「でもカールが幸せになったか、私にはよく分からないんです」と告げると、隠れて話を聞いていたカールはロイに歩み寄り彼と口付けを交わした。
カールは言う。
僕が愛した人間は叔母と、あとはお前だけだ。
たぶんこれを幸せって言うんだろ…?
そんな二人を見たアランは二人の対等な関係を羨ましく思い、一つの質問を投げかけた。
アランの質問、それは愛や恋がどこから来たのかという物だった。
感想
女性が作家になるのが難しい時代、性別を偽りアラン・ウエッジウッドという架空の男性として作家になった牧師の娘リア・ボイド。
そんなアラン(リア)の物語もこの巻で完結です。
最終巻である今回は冒頭のマイルズの弟テオとカール、そしてロイの話から始まり、愛や恋が何処からくるのか、アランの中で育つマイルズへの気持ち等が描かれました。
この巻の後半、アランはリアとして初めてロンドンの街を歩きながら、初めてロンドンへやって来た時、訪れた場所を巡ります。
その結果、出版社では編集者のベンジーには会う事は出来ませんでした。
以前もどこかで書いた様に思うのですが、人をカテゴリーで見る事に愚かしさを感じます。
この作品では女性という大きな括りで、女に小説等書ける訳が無いという決めつけが描かれていました。
しかし、現代では多くの女流作家が活躍しています。
そこから感じるのは、男女に限らず、人種や生まれた国、職業等、その他、諸々の区分けによって人を判断すべきでは無いという物でした。
ある国で生まれた人が全員、賢い、または愚かという事は無いと思います。
皆、それぞれ違っていて、いい人もいれば悪い人もいる。
そんな当たり前の事を改めて気付かせてくれる、そんな作品でした。
まとめ
この作品は後日談も描かれています。
友人であり恋人となったアランとマイルズをご覧になりたい方はチェックしてみて下さい。
この作品はイーストプレス公式サイトMatogrossoにて一部無料でお読みいただけます。
作者の秦和生さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。