Op 夜明至の色のない日々 1 イブニングKC
著:ヨネダコウ
出版社:講談社
フリーの保険調査員 夜明至(よあけ いたる)は友人の行政(ゆきまさ)から高比良玄(たかひら くろ)という少年を預けられます。
その預かった玄は、人の感情を色として感じる事が出来る共感覚の持ち主でした。
登場人物
夜明至(よあけ いたる)
元刑事のバツイチやもめ保険調査員(38)
人当たりのいい外見とは裏腹に感情を持たない男。
とある事が切っ掛けで痛覚を失っている。
保険会社や受取人に忖度する事無く真実を明かす。
ふくよかな熟女がタイプ。
高比良玄(たかひら くろ)
仏頂面の高校生
他人の感情が色として見える。
これは超能力では無く共感覚と呼ばれる物で、相手の仕草や表情などから読み取った物が色として認識される。
美人、美少女に弱い。
玉袋千秋(たまぶくろ ちあき)
夜明の事務所の事務員
美人で明るい性格だが、給金の支給が遅れがちな夜明に対しては容赦ない態度を見せる。
元キャバ嬢。
パンツは地味。
行政(ゆきまさ)
夜明の友人、警視
事件で関りを持った少年、玄を夜明に預ける。
サディスティックな性癖の持ち主で、夜明を精神的に虐める事に快感を覚える。
ただ感情の無い夜明には余り堪えていない様子。
温品(ぬくしな)
日暮損保社員
眼鏡で小太りの男。
フリーの保険調査員である夜明に仕事を依頼するお得意様。
千秋の事が気になっているようだ。
鯨(くじら)
飲食店sakanayaの店主
夜明の事務所のある貸しビル一階で飲食店を営んでいる。
裏の顔として銃器を取り扱っている。
鮫(さめ)
夜明の友人
たぶんヤクザ。
鯨とはいい喧嘩友達。
水無瀬倫子(みなせ りんこ)
夜明の元嫁
ショートカットのクールな美女。
外科医。
あらすじ
フリーの保険調査員、夜明は得意先である日暮損保からの依頼でクレー射撃場で死んだ男の調査を開始する。
男の名前は沢渡幸雄(さわたり ゆきお)四十五歳のスーパーの経営者だ。
受取人は妻の沢渡朝子。
沢渡はクレー射撃場での射撃中、銃の暴発で左胸部に銃弾を受け死亡したようだ。
日暮損保の社員、温品からの情報では、彼の経営するスーパーは余り業績は良くなかったらしい。
保険金は日暮損保以外の保険会社の物も併せて約四億。
今回の依頼は彼が自殺、つまり損保犯罪を犯していないかの調査のようだ。
夜明は最初に保険の受取人である沢渡の妻、朝子の下を訪れた。
たたわな熟女がタイプである夜明は朝子にそれを期待したが、現れた女性は予想と反し若くスマートな女性だった。
一通りの聞取り調査を終え彼女の家を後にした夜明は、友人の行政からの呼出しを受けるが調査を優先し沢渡の経営するスーパーで聞取りを行った。
店員の話によれば元々高級路線だった店は、父親から経営を引き継いだ沢渡の代で迷走を始め、温品の言葉通り業績は悪化しているようだ。
現在までに分かった情報では自殺の可能性も十分ある。
その後、行政の下に向かった夜明は一人の少年と引き合わされる。
夜明をガンを飛ばす様に観察した少年の言葉は「気色悪ィ」だった。
感想
バツイチの無感情おじさん夜明と仏頂面の高校生(実は純情)玄による保険調査をテーマにしたミステリーです。
共感覚により感情の色が見える玄に言わせると夜明は無色らしく、玄はその事にかなり戸惑っている様でした。
共感覚とは数字や音に色を感じたり、形に味を感じたりする知覚現象です。
良い悪いは置いておいて感情が見える事が普通である玄にとって、無色の夜明の存在はかなり驚きだったのでしょう。
共感覚は外部刺激の脳内での変換齟齬ではないかと私は思うのですが、とにかく玄は人の仕草や表情からその人物の感情を色として読み取れる様です。
また学校等、人の多い場所では色の多様さに眩暈を感じる事もあるみたいです。
玄はそれにより鋭敏に人の嘘を見抜けますが、その嘘の裏の動機、人の心までが分かる訳ではありません。
その為、一つ目の依頼では不用意に対象の感情を逆撫でしてしまい危険な場面もありました。
今後、夜明と玄の出会いが二人にどのような変化をもたらすのか続きが楽しみです。
まとめ
調査員としては優秀ですが昼行燈のような夜明と、人間嘘発見器のような玄。
二人の対等な掛合いが楽しい作品です。
作者のヨネダコウさんのアカウントはこちら。
こちらの作品はイブニング公式サイトにて第一話が無料で閲覧いただけます。(20年2月現在)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。