青野くんに触りたいから死にたい 8 アフタヌーンKC
著:椎名うみ
出版社:講談社
四つ首様、小学生達が行ったおまじないから始まった一連の出来事は、優里(ゆうり)達と当事者である小学生達の決断によって事無きを得ました。
この巻ではそんな怪異に満ちた夏休みも終わり、二学期が始まります。
あらすじ
四つ首様の一件も終わり、夏休みも終わりに近づいた頃、優里たちは藤本(ふじもと)と結菜(ゆいな)の合同誕生日会の為、美桜(みお)の家へと集まっていた。
その会で美桜は今回の一件及び幽霊という状態について、自分の考えをみんなに語っていた。
四つ首様については、昔行われていた雨乞いの再現というのが美桜の説だった。
滝つぼに生贄の首を投げ入れ、命を捧げる事で幽霊が現れる。
幽霊(龍神)は生贄の血の穢れを清めようと雨を降らせる。
一連の流れを語る美桜に藤本は幽霊について、彼女が気付いた事を尋ねる。
あの時は自身の閃きでテンションが上がっていたからと赤面しつつも、美桜は幽霊についての自身の考察を語った。
彼女の閃きでは人はそれぞれ個別の世界を持っていて、生きている間はその個別の世界が透明な下敷きの様に重なっている。
しかし死んで幽霊になるとその重なりから切り離され、一人の世界になるという物だった。
優里は美桜の説を聞いて、青野に以前死んだら彼に会えるのか聞いた事を思い出す。
青野の答えは「二度と会えない」という物だった。
美桜の説が正しいとすれば、優里が死ねば、すでに幽霊となり優里を介して生きている世界に関わっている青野とは完全に切り離され、優里だけの世界に行ってしまう。
そう考えれば青野の言葉ともつじつまがあう。
そんな話をしていると結菜が「意味分かんなーい」と声を上げた。
小学生の結菜には優里たちの話は難しかったようだ。
その後、結菜に促され彼らは誕生日の近い藤本と結菜の誕生会を始めるのだった。
感想
今回は誕生日会での四つ首様、幽霊についての美桜の総括から始まり、二学期の始まり、藤本の恋心、新たな霊等が描かれました。
今回はその中でも優里への想いに気付いた藤本が印象に残りました。
彼は優里の気持ちが幽霊の青野にしか向いていない事を知っている為、自分の想いを悪い物として伏せておくつもりの様です。
しかしそういった気持ちは簡単にコントロール出来る物でもなく、また青野も藤本の気持ちに気付き、友人である彼の事を考えつつも優里を独占したい想いもあり……。
そんな中、新たに青野の母親だろう幽霊(見た目は女子高生)が現れた他、青野に恨みを持つ内田もなんか画策してるし、もう、次から次に問題が起きて、読者としては面白いのですが少し不安になります。
まとめ
物語の着地点がどうなるのか、青野、優里、藤本の未来は。
三人とも問題はあってもいい子なので、なんとか幸せになって欲しいです。(青野はもう死んでるけど……)
この作品はpixivコミックにて一部無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。