ダンジョン飯 2 BEAMCOMIX
作:久井諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
迷宮の地下三階までたどり着いた一行。
センシが畑にしているゴーレムや、彼と付き合いのあるオーク達との出会い、宝石に擬態する魔物、ゴースト達との戦い等を経て、彼らの冒険はつづく。
厨房らしき部屋を見つけた彼らは、そこで休息を取る事にした。
第13話 塩ゆで
あらすじ
ライオスが絵の中の食べ物を盗み食いしようとしたため、地下四階に進む予定が遅れてしまった一行。
厨房らしき部屋を見つけた彼らは休息を取る事にした。
そんな中、チルチャックは以前は無かった箱の存在に目を止める。
ミミックであろうと当たりをつけたチルチャックだったが、ライオスやセンシに話せば、彼らは倒して食べようとするだろうと考え黙っておく事にした。
彼は駆け出しのころミミックに辛酸をなめさせられた経験がある。
ミミックの事を思い出していたチルチャックをマルシルは気遣う。
センシやマルシルから子供扱いされ否定すると年齢を聞かれたが、彼はプライベートな事は教えたくないと答えない。
その後、寝床を用意し眠ろうとしたチルチャックだったが、空腹を感じ水でごまかそうと水筒を取り出すが生憎空だった。
水の補給のためマルシルにその旨を告げ隣の部屋の水場へ向かった。
厨房への帰りコイン虫を見つける。
彼はコイン虫の事が嫌いではなかった。
宝虫の中では凶暴ではないし見た目も洒落ている。
コイン虫がミミックのいる部屋に入っていたのにつられ、チルチャックはその部屋に入るが罠が発動し閉じ込められてしまった。
マルシルに水を汲むことは伝えたが、寝ぼけていた彼女に助けを期待することは出来ないだろう。
いったん落ち着き室内を観察する。
この手の罠は仕掛けを解けば扉は空くはずだ。
チルチャックは探索により壁にあるスイッチと床の罠を発見した。
壁にプレートがかけられ古代語でなにか書かれているが、彼には読むことが出来ない。
マルシルがいれば解読できそうだが、今は独りで如何にかするしかない。
文字はどこかで見た覚えがあったが思い出せない。
壁にスイッチが三つ、いや配置を考えればミミックの後ろの壁にもありそうだ。
ヒントは古代語で書かれたプレートだけ、考えあぐねた彼は部屋に置かれた戸棚に腰を下ろした。
夜明けまで待つかと考えていた彼の足を戸棚からでたハサミが掴もうとする。
寸前で気付き辛くも逃れたが避けた拍子に壁のスイッチを押してしまった。
罠が発動しミミックを床から突き出た槍が襲う。
しかしミミックが潜んでいた戸棚は思いのほか頑丈で罠が戻るとチルチャックに襲い掛かって来た。
逃げるチルチャックの脳裏にライオスの言葉が浮かぶ。
”ミミックはひっくり返すと、バタバタして可愛いよ”
”ひっくり返すと、オスかメスかわかるよ”
ミミックをひっくり返そうとチルチャックは壁際まで走った。
襲い掛かられる直前、壁のスイッチを押す。
罠が発動し、槍に弾かれたミミックは見事ひっくり返った。
一息ついたチルチャックは騒ぎを聞きつけ誰か来ていないかと、鉄格子の下りた扉に向かった。
鉄格子傍のミミックだと踏んだ箱は、空箱だった。
怒りを感じて蹴りつけると蓋が空きコイン虫が一匹入っていた。
チルチャックはコイン虫に書かれた文字でプレートの文言を解いた。
ミミックは足を延ばし起き上がろうとしている。
彼は急ぎ壁のスイッチを押す。
東、西、北まで押し、南のスイッチの目前でミミックが起き上がりチルチャックに迫る。
チルチャックは叩き付けるようにスイッチを押し、開いた鉄格子を目指し駆け抜ける。
チルチャックが部屋を出た直後、彼を追いかけていたミミックは床のボタンを踏み閉まった鉄格子に潰された。
部屋を出るとマルシルが戻ってこないチルチャックを心配して、ライオスたちを起こしている所だった。
斃されたミミックをみて早速食べようとするライオスたち。
絶対食わないというチルチャックを置いて、センシは鍋でミミックを塩ゆでにする。
出来上がったミミックをライオスはスプーンで殻から取り出そうとするがうまく行かない。
センシがチルチャックのピッキングツールを使えばいいと提案し、チルチャックの抵抗空しく、ピッキングツールでほじられたミミックの身を食べたチルチャックは、沈みながら、すげえうまいと呟くのだった。
食事をしながら、ミミックの事を黙っていた件を問われたチルチャックは、良い思い出が無いから関わらずにいたかった事と、宝虫が食われると思った事を話した。
それを聞いたライオスは宝虫がミミックを食べるのだと、宝虫の生態を話した。
更に怖かったねとマルシルに子供扱いされ、仲間に隠し事するからよと言われたチルチャックは、年齢が29歳だと打ち明ける。
結局、寿命の長いマルシルとセンシには子供だと言われるのだった。
感想
ダンジョン飯におけるミミックは甲殻類でヤドカリのような見た目です。
食べている場面を見るに、味も蟹に近いのでしょうか。
昔、南の島に行った際、ヤシガニを食べる機会がありました。
身も美味しく、ミソが濃厚で特に美味しかった覚えがあります。
味的にはあれに近いのかなと想像してしまいます。