セクシー田中さん 6 フラワーコミックスアルファ
著:芦原妃名子
出版社:小学館
同僚達にベリーダンスを踊っている事を知られた田中(たなか)さん。
幼少期を思い出し、凹む田中さんだったが、笙野(しょうの)や朱里(あかり)のフォローと同僚達に好意的に受け入れられた事で元気を取り戻す。
その後、笙野に食事に誘われた田中さんは朱里にも声を掛けるが、朱里は笙野と二人きりでのデートしてくるように田中さんを促し……。
登場人物
笙野の母
黒髪ショートの年配女性
田中さんとのデートで泥酔し、左足の靭帯を損傷した笙野を心配し、彼の家を訪ねてきた。
ただ、東京に出て来たのはそれだけが理由ではないようで……。
笙野の父
黒縁眼鏡の年配男性
昭和気質の亭主関白な男。
あらすじ
朱里の提案で笙野と二人で食事に出かける事になった田中さん。
朱里からはせっかく素敵なレストランに行くのだから、全力でオシャレして行かなきゃダメですよとアドバイスをもらった。
しかし、それはこれまでオシャレとは縁遠かった田中さんには、ハードルの高いアドバイスだった。
着ていく服で使えそうなのはステージで着るド派手な衣装。
メイクもダンス用の派手な物しか経験が無い。
だがそれでも、真面目な田中さんは現時点で自分が出来る最高のオシャレを頑張った。
結果、出来上がったのは派手なステージ衣装をアレンジし、盛りまくりテカテカになったやりすぎメイクの田中さんだった。
そんな姿で現れた田中さんに笙野は思わず悲鳴を上げる。
その後、メイクと服の理由が朱里にあると知った笙野は、いい加減なアドバイスをした朱里を呪いながら、新しい事にチャレンジしてみようと思ったという前向きな田中さんの発言にダメ出しも出来ず、結局、アルコールの力を借りてその場を乗り切る事にした。
酒の力で気持ちの解れた笙野は、田中さんとの会話も弾み楽しい時間を過ごした。
しかし、飲みすぎた事でデザートが出た時には、寝落ちしてしまっていた。
その後、田中さんは酔いつぶれ倒れ、足を痛めた笙野を周囲の人の助けを借りながらタクシーに乗せ、何とか自宅まで送り届けたのだった。
感想
今回は冒頭、盛りすぎメイクで現れた田中さんと笙野の食事から始まり、失敗メイクと朱里のメイク研究、笙野母との出会い、笙野母と東京観光、子供時代の笙野、母のやりたい事とお見合い等が描かれました。
その中でも今回は父から男らしさを強要された、子供時代の笙野のエピソードが印象に残りました。
笙野の父はステレオタイプの昭和の父親といった印象の人物で、愛猫を亡くし泣いていた笙野に、男のくせにいつまでもメソメソ泣くなと怒声を浴びせるような男です。
父親の一喝で泣くのを止めた笙野ですが、彼の母親はその事で壊れる物もあると口にします。
男だから、女だからこうあらねばならない。
現代においても根強く存在するジェンダーによる画一化された人間像。
そしてそれを押し付けてくる人々や社会。
そもそも生き物というものは多様性を得るため個々の揺らぎを持ち、その揺らぎによって生存の確立を増やしています。
画一化とは多様性の否定であり、効率的ではあっても致命的な欠陥を持つことに他なりません。
そういった意味でも、男はパンツで女はスカートといった服装に対する決めつけ等、なんとなくナンセンスに感じます。
個人個人、それぞれが違って当たり前なのだから、人に迷惑さえかけなければ好きなように生きればいいのにな。
笙野父を見ていてそんな事を思いました。
まとめ
今回のラスト、笙野は母の言葉で彼女の持ってきたお見合い話の相手と会いました。
笙野はこのままお見合い相手と話を進めるのか。
田中さんとの恋人未満の関係はどうなるのか。
次の展開が楽しみです。
この作品は小学館公式サイトにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。