ナイトウィンドの影
安田均 編
山本弘 他
イラスト 見田竜介
富士見ファンタジア文庫
テーブルトークRPG「ソード・ワールドRPG」の世界フォーセリアを舞台にした短編集、第二作目。
この短編集では3作品が収録されています。
各話のあらすじや感想など
ナイトウィンドの影 山本弘
盗賊で魔術師のナイトウィンドと相棒のダーバルは、領主の館へ忍び込みお宝を手に入れようと計画を実行する。
ナイトウィンドは寺院の鐘楼から凧を使い領主の寝室へ入り込み、領主と一緒にいた女を無力化する。
お宝を探し寝室の宝箱を探っていたナイトウィンドだが、仕掛けにより拘束されてしまう。
拘束を解くためには領主が持つ鍵が必要だが、隙をつかれて領主に鍵を窓の外に捨てられてしまった。
ナイトウィンドを救うためダーバルは窓から身を躍らせるのだった。
感想
このお話に出てくるナイトウィンドはリプレイ集 盗賊たちの狂詩曲(ラプソディー)に登場するキャラクターです。盗賊の能力と魔法の力は親和性がよく盗みを働くにはもってこいでしょう。
ただ彼らも有名な大泥棒三代目と同じようにあまり儲かっていないようですが。
鏡よ鏡 高井信
あらすじ
アレクラスト大陸最大の街オランの北東、古代魔法王国最大の遺跡、落ちた都市レックスより北、ヤスガルン山脈の山腹にあるドワーフの集落ピムラが舞台。
ピムラに住むドワーフのデュダは戦士に憧れていたが、体格に恵まれずそれならと賢者を目指した。
ドワーフは筋力、頑強さ、手先の器用さは秀でているが賢さに関しては他の種族に劣る。
ある日デュダは幼馴染のベクトとラーズに、洞窟で見つけた鏡に封じ込まれている魔力を調べて欲しいと依頼された。
解らないと言いたくないデュダは、依頼を受け親友であるゲランとバルン、エルフのリュークと共に鏡が見つかった洞窟へ向かうのだった。
感想
後に短編集やリプレイ集等も刊行されたデュダとリュークのお話です。
後の作品でデュダは探偵として活動していますが、決して有能ではなく的外れな推理を披露したりします。
(なぜかパズルのピースがはまり事件は解決するのですが。)
今回のお話もデュダが直感的にとった行動で事態は解決します。
コメディーやドタバタ劇がお好きな方にはおすすめではないでしょうか。
神官戦士が六人 水野良
あらすじ
アレクラスト大陸西部、オーファン王国に属する街道沿いの村、ドノバが舞台。
幸運神チャ=ザの神官戦士ライス、ハーフエルフのリーライナ、魔術師のチャペル、ドワーフのオスター。
四人はパーティを組んでいる。パーティ名は羽根頭、それぞれが鳥の羽を髪や兜、帽子にさしている。
彼らは大地母神マーファーの神官ミランディから領主夫人が魔物であるかもしれず、もしそれが事実なら彼女を村から追い出してほしいと頼まれる。
また幸運神チャ=ザの司祭ルファードからは、魔物と婚姻した領主もふくめて二人に村から出ていくよう申し入れに行くので護衛して欲しいと頼まれる。
更に黒い噂のある領主の弟が村に戻って来ていた。
ライスは領主に話を聞くため一人館に向かうのだった。
感想
後の短編集にも何度か出てくる羽根頭のお話です。
ライスの願いは、自分が力を貸すことで人が少しでも幸せになってほしいというものです。
彼の行動は今後の物語でも一貫しています。
彼らはまだ駆け出しで英雄と呼ばれるほどの力はありませんが、解決のために尽力します。
羽根頭の物語は短編集の中では清松みゆきさん作の赤い鎧シリーズと同じぐらい大好きな作品です。
まとめ
ナイトウィンド、デュダなど他の作品に出てくるキャラクターが活躍するエピソードでした。
彼らの登場する作品を追ってみても面白いかもしれません。
ソード・ワールド短編集 ナイトウィンドの影 (富士見ファンタジア文庫)[Kindle版]