小説 小説短編

新宿もののけ図書館利用案内 2

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猫新宿もののけ図書館利用案内 2 メゾン文庫
著:峰守ひろかず
画:Laruha(ラルハ)
出版社:一迅社

新宿・舟町の住宅街、そこにある本姫図書館は人ならざる者、所謂妖怪が利用する図書館でした。

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登場人物

市谷左内坂リシヤ(いちがや さないざか りしや)
市谷に住む化け狸
少女とよく間違えられる可愛らしい少年。
それは女に化けるのが上手いという一族の成り立ちに由来しているようだ。
見た目通り十歳の小学生。

於戸姫(おとひめ)
面影橋に名を残す妖異
美しさが原因で不幸を呼び、その事を嘆き自ら神田川に身を投げた女性が元となり生まれた妖。
男を引き寄せ好意を抱かせる力を持つが、本人は過去の事もあり男性と懇意になる気は全く無い。

三光町サラサ(さんこうちょう さらさ)
雷電稲荷の血を引く化け狐
由来は源平時代の武者、源義家とも所縁のある白狐の子孫。
雷を止めたという伝説から電気や雷を操る力を持つ。
その力からか、一族は電化製品や機械を好むようだ。
彼女の場合はデジカメで、アマチュアカメラマンとして写真を撮る事を趣味にしている。

戸山ミテ(とやま みて)
子連れ幽霊・産女
三十代半ばの豊満な女性。
一般的な産女と違い、彼女は自ら幽霊だと打ち明け旦那の仇討の為に赤子を人に預けるという逸話から生まれた。
現在は成仏出来ない子供の霊を世話し天国へ送っている。
産女の頼みを聞き赤子を預かると特殊な力を得る事も有るようだ。

上品な少年
十一、二才ほどの見た目の黒髪の男の子
妖怪らしいのだが、字が読めないらしく本姫図書館が読み語りをしていると聞き図書館を訪れた。

各話あらすじ

第一話 自由研究の参考資料はこちらです。
ある日、図書館に小学生らしき女の子が訪れる。
詞織が話しかけていると、休憩から戻ったカイルが少女に気付いた。
どうやら二人は知り合いだったようで、話を聞くと詞織が少女だと思った小学生は実は少年で正体は化け狸だという。

市谷左内坂リシヤというその少年は、鉱物の本を探しているらしい。
彼が言うには名前の分からない石を見つけた様なのだが……。

第二話 そのご要望には図書館では対応できません。
閑古鳥が鳴いていた図書館に着物姿の若い女性が訪れる。
彼女の名は於戸姫。

その美貌は男を惹きつけ、彼女を巡って人死にも出る程だったという逸話を持つ妖だ。
本人はその事を嘆き神田川に身を投げ、その話や諸々が由来となり生まれたらしい。

そんな彼女が図書館を訪れたのは歌を探しての事らしい。
彼女は周囲の視線を集め男性を虜にする力を持つが、人付き合いに疲れており声を掛けて来たしつこい男を振る為の和歌を探しているようだった。

第三話 お探しの本はこちらではありませんか
図書館の改善を続けている詞織とカイル。
特設コーナーを設置し、地元の作家特集をする事にしたのだが、その話に突然割って入った本姫から話の流れで、交流もあったある作家の本が読みたいと依頼される。

しかし本姫は作家の名前もタイトルも覚えてはいなかった。
ふわっとしていて怪しく奇妙で、それでいて懐かしさもある小説。
流石にそれだけでは探しようが無い為、時代だけでもと食い下がるが明治以降とこちらも曖昧な答え。

本姫も無茶を言っている事は承知の様で、積極的に探して欲しい訳では無さそうだ。
それらしい物があれば、取り置きをしておいてくれと言い残し本姫は消えた。

第四話 これから絵本の読み語りを始めます
絵本を読める様になりたい。
詞織はカイルからそう相談を受けた。
原因は先日、話した事が元となり図書館を訪れる様になった産女、戸山ミテの連れていた子供の霊にカイルが絵本を読んでやった事が原因だった。

彼の読み語りは内容の盛り上がりに合わせた抑揚が無く、云わばただ字を読んでいるだけだった。
当然、子供の霊は一瞬で興味を失い、結局ミテが読む事で事無きを得たのだ。

第五話 図書館は本を読みたい人なら誰でも利用できる施設です。
図書館に読み語りを求め訪れた少年。
その正体が判明し本姫は彼が起こす被害を避ける為、退治すると言い出した。

利用者であり読み語りで交流もあったカイルはそれに反抗、ついには自ら館長代理の証である委任状の入ったお守りを本姫に返却して図書館を退職した。

感想

妖怪の利用する図書館に持ち込まれる様々な相談を解決する物語、その第二弾です。

今回は作中に登場した妖怪たちがある問題を解決する為、最終話でカイル達に協力してくれます。
作中でも語られていますが、真面目なカイルが相談に真摯に対応した事が妖怪たちが力を貸してくれた理由だと思います。

情けは人の為ならずと言いますが、作品を読むと二人の優しさや思いやりがラストの結果につながったのだと強く感じました。

作中、子供の霊を抱いた産女のミテがバッグを落とし野菜等が地面に転がり、無関係なサラリーマンがそれを迷惑そうに避ける場面がありました。
似たような場面は実際に何度か見た事があります。

拾った事もあれば、そのまま通り過ぎてしまった事もあります。
最近では出来る限り拾う様にしています。
理由は単純でその方が事態の収束が早いし気持ちいいから。

人は誰でもミスをするし、自分がいつ同じ立場になるか分かりません。
もし自分がそうなったら、その時誰かが助けてくれたら。
たぶん、ありがとうと思うだろうし、気持ちも少し上向く気がします。

そんな風に世界が回って行けばいいなと思います。

まとめ

物語は何となく完結の匂いを感じる幕引きでしたが、お話、キャラクター共にとても気に入っているので続いて欲しい作品です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者の峰守ひろかずさんのアカウントはこちら

※イメージはPixabayのxmax88による画像です
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