ふしぎの国のバード 8 ハルタコミックス
作:佐々大河
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
実在したイギリス人女流旅行家、イザベラ・バードの旅の様子を描いた冒険旅行記、第8弾。
バードの旅の通訳兼ガイドのイト。
バードと彼はお互いに隠し事を無くすという条件のもと、信頼を深めイトと契約を結んでいるマリーズに真っ向から立ち向かう事を決めました。
そんな風に絆を深めながら秋田まで辿り着いた二人は、雨で先に進めない中、結婚を控えた一人の女性と出会います。
あらすじ
雨で逗留していた宿でバードを手招きした女性。
それは宿の娘、志乃(しの)だった。
彼女はバードが日本の文化を視察していると聞き、ぜひ自分の結婚式を見ていって欲しいと申し出た。
バードはその申し出を喜んで受け入れ、明日、結婚するという志乃の婚礼の準備の様子を興味深く見学した。
イギリス人であるバードにはなじみのない、お歯黒の鉄漿付(かねつけ)の様子を見学した彼女は是非明日の婚礼も祝福させて欲しいと願い出る。
それを聞いたイトはそう言う場合は、まず父親に相談すべきだとアドバイスを送った。
だがバードが父親の事を聞くと、志乃たちの表情が曇る。
いぶかりながらも宿の主である志乃の父親に話を聞くと、どうやら志乃の結婚を彼は認めていない様だった。
詳しく聞けば、相手の男は卑俗の家柄であり本来なら絶対に婚姻は許せない相手だが、志乃が自らの命を賭して男と添い遂げようとしたため、父親は泣く泣く折れたという事だった。
婚礼に参列しないと静かに言った父親を見て、バードは複雑な思いを抱くのだった。
感想
今回は父親に認められていない婚姻を望んだ夫婦、そしてその父親と、長雨で激流となった米代川の遡上の様子が描かれました。
現代でも結婚は当人同士だけでなく、家同士の繋がりを生む物だと思います。
また、作中描かれた身分差や家格の違いだけでは無く、親として娘の幸せを願うなら、やはり貧しい家や問題のある家には嫁いで欲しくは無いでしょう。
読んでいて、愛しい人と一緒になりたい志乃の気持ちも分かりましたが、幸せになって欲しいという父親の気持ちも感じました。
ただ、家格は見合わなくても志乃が選んだ人は優しく誠実な人柄で、彼女はきっと幸せになれると感じさせるものでした。
まとめ
この巻の終盤、背中の傷の問題で荒れる米代川を船で登るルートを選んだバード。
激流に飲まれ沈んでいく船がある中、彼女は蝦夷を目指し先に進みます。
彼女がどのようにして青森まで辿り着くのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。