太陽と月の鋼 2 ビッグコミック
著:松浦だるま
出版社:小学館
妻である月(つき)を水を自在に操る陰陽師、夜刀川瞠介(やつがわ どうすけ)に連れ去られた下級武士、竜土鋼之助。
次に彼が目覚めた時、鋼之助の脳裏からは月の事はきれいさっぱり消えていました。
登場人物
刮(かつ)
夜刀川の妹
白髪でザンバラ髪の少女
玄武(げんぶ:かめ)と呼ばれ、鋼之助に月に関する記憶を封じる呪いを掛けた。
明(あき)
イチコ(イタコ)の少女
糸目で快活な盲目の少女。
その目は光を見る事は出来ないが、触れたモノの未来を見る。
彩(あや)
明に口寄せを頼んだ女性
そばかす美人。
恋人であった敏市(としいち)を亡くしたが、今も彼を想っている。
あらすじ
鋼之助は妻であった月の記憶を呪いにより封じられていた。
だが月の事は思い出せないが、家に残った月が残した様々なモノ、それは打つ相手のいない碁盤であったり、椿の活けられた花瓶であったりが鋼之助の心を揺さぶる。
ただ床に横になっていも、鋼之助の心には常に何か足りないという思いが渦巻いていた。
それを思い出そうとすると、酷く頭が痛む。
しかし、念願の士官の話よりも、奇妙な焦りと共に鋼之助は忘れた何かに心を奪われていた。
やがで、碁盤から神田明神を連想した彼は、実際に神田へと足を延ばす。
以前は売卜(うらない)等で賑わっていた筈だが、現在は売卜師達はお上の命で退去させられていた。
そんな閑散とした境内で鬼の面を被った少年と鋼之助は再開する。
鋼之助の方は覚えていなかったが、少年は記憶を誤魔化されても事実が消えた訳ではないと語り、彼に一つの歌を詠む。
“水無月の 夏越の祓えする人は ちとせの命 のぶというなり”
その歌を聞いた鋼之助の頭はズキズキと今までに無い程痛んだ。
鋼之助は少年に更に話を聞こうとするも、少年はそれだけいうと風の様に走り去ってしまった。
仕方なく家に戻り、夜、縁側に座って一人、盃に酒を注ぐ。
水無月の 夏越の祓えする人は ちとせの命 のぶというなり
誰かに生きろと言われた。
最初に浮かんだのは母だった。自分は母を守れず、だからこそ武士として死ぬ事を望んでいた。
生きて守らねばならぬ、亡き母では無く、そのひとを守る為生きねばならぬ。
そう思った鋼之助の頭がズキンと痛む。
思わず盃を取り落とした彼の脳裏に優しく微笑む女の顔が浮かんだ。
見上げた空に浮かぶ、金の光を放つ星。
その星の名と同じ名前の自分の妻、月……。
名を呟いた瞬間、鋼之助の頭には月と過ごした日々が、あふれ出していた。
感想
今回は記憶を封じられた鋼之助の日々から始まり、新たな登場人物、明の力、鋼之助と明の出会い、そして月を連れ去った夜刀川とも関係の深い、陰陽師達の襲撃までが描かれました。
この巻では夜刀川の目的も描かれ(なぜそれを為そうとしているかはまだ不明)段々と全体の形も見えてきました。
物語冒頭、鋼之助は死に場所を求め日々を過ごしていました。
ですが今回、彼は記憶を取り戻す過程で月の為に生きると強く思っていました。
彼の姿を見ていて、人はやはり仕事や金の為でなく、人の為に生きるのが一番なのだろうなと、何となく思いました。
まとめ
家族同然だった下男、乙吉(おときち)を殺され、妻を奪われた鋼之助。
明という新たな仲間を加え、彼がどう動くのか、次巻も楽しみです。
この作品は、pixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。