オオカミライズ 4 ヤングジャンプコミックス
著:伊藤悠
出版社:集英社
少年時代、収容施設で私刑で小さな箱に閉じ込められたアキラとケン。
飢えと渇きで苦しむケンに、アキラは傷付いた左手から滴る血と肉を与えました。
そんなアキラが愛し失った女性、蛍(ほたる)。
ケンは友人であるアキラの愛した女性の遺体が戦車に踏み荒らされるのを防ごうと、墓を掘り返し遺体を移動させようと試みます。
その場面を見てしまったアキラは、ケンが自分が血を与えた事で人の血肉を求める怪物になってしまったのだと勘違いします。
その勘違いを抱えたまま、その身を巨大な狼に変えたケンと、彼らを殺す為、対倭狼(ウォーラン)特殊部隊吃狗(ちぃごう)に身を置いたアキラはぶつかる事になります。
あらすじ
ロシア側の介入を恐れた中国政府は、逃亡した倭狼(ウォーラン)の抹殺の為、大規模なミサイル攻撃を検討する。
倭狼の研究者、朱可(しゅか)はケン達の下にいる笑見(えみ)の確保を命じられる。
アキラはその朱可に彼がこだわる最初の倭狼、マエダを確保を条件に笑見を人として扱う様、朱可に求めた。
マエダを使い研究を進めたい朱可は、アキラが提案した笑見の件に前向きな様子を見せた。
それを受けて、アキラはかつての仲間であるケンの抹殺、およびマエダ、笑見を捕縛する為、倭狼がアジトとしているダム施設へと仲間と共に向かった。
そしてその道中、露西亜側に付いていた収容施設時代の仲間、イサクと再会。
露西亜の密偵としてダム近くに潜伏していたイサク達も、行動を開始していたのだ。
そんな二人の前にターゲットの一人であるマエダが現れた。
感想
今回は露西亜側の介入を切っ掛けに、逃亡したケン達倭狼を中国側が抹殺する為、仕掛けた攻撃の模様が描かれました。
その戦いに参加したアキラも、すれ違ったままケンと戦う事になり……。
読んでいるとアキラの頑固さと思い込みの強さに、少し苛立ちを感じます。
それは彼のいい所でもあるのですが、対話をせず自分が見た物から推測した事で戦いを続ける事はどうなんだと思いました。
まぁ、ケンが何を言ってもアキラには、いい訳や誤魔化しに聞こえたかもしれませんが……。
また、今回は露西亜側の内情もほんの少し分かりました。
イサクが所属していた庄内の教官(マースチェル)、彼女がイサクに語った倭狼の治療は真実では無く、本当は生き残る為、露西亜の手先として動いていました。
その事を知ったイサクがどんな選択をするのか、先が気になります。
まとめ
今回読んでいて感じたのは、生きたいという想いでした。
ケンは人間としてごく当たり前の幸せを望み、イサクの所属している庄内(忍者の子孫)達も、日本を占領した露西亜の中で生存する方法を有用性を示す事で得ようとしていました。
生物は究極言えば、生きる為に存在していると思います。
それはきっと生きているだけで意味があるからだと感じています。
なぜならどれとして同じ命は無く、多様性を確立する為には一つでも多い方がいいと私は思うからです。
少し話が作品からずれましたが、現状で価値が無いから排除する事、それは画一化を生み、人という生命の脆弱化を招く様に思えます。
作中、描かれる倭狼の兵器としての有用性、研究者の朱可がマエダを求める理由、庄内が示そうとしている自身の価値。
この巻を読んでいて、誰かが決めた価値が無ければ消される世界は嫌だなと改めて感じました。
この作品はこちらで第一話を無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。