スインギン ドラゴン タイガー ブギ 2 モーニングKC
作:灰田高鴻
出版社:講談社
米軍基地内のクラブ。
そこのマネージャーから専属契約の話を振られた丸山達。
ただし、話題になっているのはとらであり、バンドの実力をマネージャーは疑問視していました。
その日の演奏で見極めるというマネージャーに、丸山達はテンションを上げ挑みます。
登場人物
森田
米軍やキャバレーにバンドの斡旋を行っている男
右目に眼帯をしたハンチング帽の男。
バンドの仲介料が高い。
帰還兵。
岡野染香(おかの そめか)
とらの従姉
池袋の繁華街「池袋三業地」で働き暮らしている。
イケメン好きの駄メンズウォーカー。
無鉄砲なとらを心配している。
面倒見が良く三業地の女性からは慕われている。
チャールス・ショア
白人の米兵
眼鏡をかけた温和な雰囲気の男性。
音楽好きでとらのファン。
愛称はチャーリー。
スティーブン
黒人の米兵
チャーリーの友人。
大柄な黒人青年。
龍治と同じくベーシスト。
彼の奏でる音は力強く、龍治の心を震わせた。
志摩時子(しま ときこ)
ピアニスト
格付け審査スペシャルAのピアニスト。
ピアノを弾いている時はとても色っぽいが、普段は眼鏡の慌て者。
大河(おおかわ)
バー・グレート・リバーのマスター
音楽を愛し人種に関係無く音を楽しめる場所を提供している。
朝鮮戦争へと出兵し店から去って行く米兵達の事を悲しんでいる。
トシ
とらの家のお手伝いさん
二親を亡くしたとらをずっと世話してくれた。
とらにとって母親の様な存在。
充太郎(じゅうたろう)
トシの息子、15歳
とらの伯父である敬忠(のりただ)からとらを連れ戻す様、依頼される。
敬忠は充太郎の学費も面倒を見ていた。
ただ充太郎は学費を出してくれたという敬忠への恩だけでなく、とらへの自身の想いから彼女を福井に連れ帰ろうとしている。
あらすじ
前回のステージで米兵達にも、とらのファンが増えていた。
その様子にバンマスの丸山は、とらの歌にバンドが合わせる形で演奏をスタートさせる。
彼女の歌は龍治の記憶の一部をフラッシュバックさせたりしながら、メンバーを巻き込みとらを含めた全員のプレイを昇華させていく。
楽しい!!
メンバー全員がそう思いやり切ったステージは大盛況の中、幕を閉じた。
演奏が終わり一人クラブから抜け出た龍治は、クラブの外壁にもたれながら煙草に火を点ける。
煙草を吸いながらその体が小刻みに震えている。
やがて我慢出来なくなった龍治は地面に転がると、思う存分、腹の底から笑い声を上げた。
感想
今回は冒頭のステージシーンから始まり、仲介屋のタモ(中抜きが多い)を裏切る形での専属契約、龍治と染香、契約後の初ステージ、バー・グレートリバーでの龍治、そしてとらを迎えに来た充太郎等が描かれました。
その中でも契約後の初ステージの際、タモの嫌がらせで米兵達に襲われそうになったとらと龍治を助けたチャーリーのセリフ。
「僕はいままでやられっ放しの人生だったけど……愛する者を守ったんだ」
には何だか涙腺を刺激されました。
チャーリーは現代で言う所のアイドル好きのオタク青年的な人物です。
気弱で優しく暴力とは無縁そうな彼が、素行の悪そうな米兵相手に立ち向かい撃退する。(方法は自分の服を引きちぎり奇声を上げ両手を奇妙に動かすという物)
それをやり遂げた後の満足気なチャーリーの表情がとても素敵でした。
もう一つは後半のバー・グレートリバーの演奏シーン。
黒人の青年スティーブンと龍治のセッション、二人に合わせて踊るドラム、そしてそれに巻き込まれる時子のピアノ。
音が混じり合い更なる高みへ上がっていく感覚、そして演奏後、店を去る龍治のセリフまで、その全てが最高でした。
まとめ
今回のラストで、とらは充太郎に連れられ福井へ向かう事になりました。
何だか裏がありそうな福井行き、次巻もどうなるのか楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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