いちげき 7 SPコミックス
漫画:松本次郎
原作:永井義男
出版社:リイド社
必殺隊を率いた元新選組の和田(わだ)は相良(さがら)のピストルの前に破れ、襲撃は失敗に終わりました。
その後、もう一人の必殺隊の責任者、島田(しまだ)は必殺隊の世話役をしていた乱破の与吉(よきち)と刺し違え息絶え、今際の際の島田の言葉、身分が無くなり刀の時代は終わる事を聞いた必殺隊の生き残り、市蔵(いちぞう)も切腹し果てました。
一人生き残った丑五郎(うしごろう)は市蔵の最後の言葉「一度くれえ、マトモなことしやがれ」を実践する為、混乱する江戸の町で贔屓の女郎、お園(その)のいる店へと向かいました。
原作は永井義男さんの『幕末一撃必殺隊』(リイド社)です。
あらすじ
丑五郎が女郎屋に足を踏み入れると、そこには死体の山が築かれていた。
その荒れた女郎屋を割れた食器と死体をまたぎながら、お園を探し妹チヨの仇と思しき伊牟田の下へ向かう。
やがて辿り着いた部屋では、お園(その)と血塗れの伊牟田が待っていた。
伊牟田の顔には死相が浮かび、お園は惨劇のショックで気が動転している様だった。
傷だらけの伊牟田はお園を囮にして丑五郎を呼び寄せ、彼と戦う事を望んでいた。
また丑五郎もお園を国元へ返し、妹の仇を取る為、伊牟田と戦う事を選んだ。
二人は酒の乗った膳をはさみ、畳に座り対峙する。
一太刀だ、そいつに全ての気を乗せるのみ。
そう言った伊牟田に丑五郎はうちの大将と同じ事を言うと返した。
防御をかなぐり捨てた捨て身の一撃、それによって必殺隊は短期間に強くなった。
しかし、同じく短期間で丑五郎以外全員死んだ。
彼らの名前を上げ、丑五郎は続けて言う。
丑五郎はテメェを斬る前に教えといてやる。
いちげきひっさつたい、それがオラたちの名じゃ。
感想
この巻で物語は完結です。
最後は因縁深い伊牟田と丑五郎の戦いの様子がほぼ丸々一冊使って描かれる事となりました。
その戦い内容の詳細は省きますが、二人を見て思ったのは丑五郎はやはり農民で伊牟田は武士だったのだなという事でした。
また全体を通して感じたのは、大きな力に翻弄される人々に対する哀しさと、それを行っている者に対する憤りでした。
ただ、行っている者達も時代という抗えないモノによって、選択を余儀なくされていたのかもしれません。
ラスト、剣の時代は終わりを告げ、銃を使った集団戦闘に戦争の形は変わっていく事になります。
本編を読み終えた後、書き下ろしを読んでいると、彼らの戦いは何だったのかと、虚しさと哀しさをより強く感じました。
まとめ
凄く面白かったけど、やはり幕末物は辛い結末が多いです。
大好きになったキャラクター達が消え、誰もいなくなる。
最初から何となくそうなる事は分かってはいても、やっぱり寂しさを感じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はトーチwebにて一部、無料でお読みいただけます。
松本次郎さんのTwitterは多分こちら。